カテーテル

カテーテルとは

カテーテルとは、医療用チューブのうち、特に患者の体内に挿入して使用されるものです。

用途別では、経管栄養用カテーテルや、静脈内カテーテル、血管造影、心臓治療や脳血管治療に用いられるカテーテルなどがあります。人体内部に挿入することから、径の大きさは数mm前後と極めて細いチューブが用いられます。生体適合性が高く、屈曲性に優れた柔らかい樹脂素材が用いられることが一般的です。

カテーテルの使用用途

カテーテルは、臨床治療において、患者の体内に挿入して、検査や治療などを行う細いチューブです。主な用途には次のようなものがあります。

1. 経管栄養用カテーテル

口から栄養を摂取することが難しい場合、経管栄養が行われます。経管栄養とはチューブやカテーテルなどを用いて、胃や腸に直接栄養剤や水分を注入する栄養補給法です。

経管栄養用カテーテルには、食道瘻カテーテル、胃瘻カテーテル、経鼻カテーテル、空腸瘻カテーテルなどがあります。

2. 静脈内カテーテル・中心静脈カテーテル

静脈内カテーテルは、腕や首などにある静脈に挿入するカテーテルです。心臓近くの太い血管 (中心静脈) に留置する静脈内カテーテルを特に中心静脈カテーテルと呼びます。中心静脈カテーテルは、腕や首、大腿などの血管から挿入しされ、点滴や注射、採血、静脈圧測定などを行うために使用されます。経口摂取や経管栄養が難しい場合に、栄養液を点滴する場合もあります。

3. 血管造影検査・心臓カテーテル

血管造影検査とは、カテーテルを血管内に挿入し、血管内や心腔内の血液の状態を検査したり、造影剤を急速注入して血液の流れや心臓の動きを動画撮影します。特に心臓のカテーテル検査は、「心臓カテーテル」と呼ばれます。心臓各部分の 圧力の測定、血液の中の酸素量の測定のほか、造影剤を使って心臓の動きや大きさ,欠損孔の有無などを評価する検査が可能です。また、カテーテル治療では、流れの悪くなった血管の拡張、閉塞血管の開通や、異常血管を塞ぐ治療などの治療が行われます。開胸・開腹手術に比べて低侵襲であり、負担が少ないというメリットがあります。

カテーテルの原理

 カテーテルとは、体内に挿入することができるごく細い医療用チューブです。素材はシリコン、PTFE、ナイロンなどの高分子化合物が中心です。生体適合性 (人体がチューブの素材に対して異物反応や拒絶反応を起こすことがなく、人体に対して安全に使用できる) の高い素材が用いられます。また、柔軟性があり、耐屈曲性にも優れた素材であることが必要です。

用途に応じて、太さは1~10mm程度、長さは数cm前後から2m近くまで様々なものが用いられます。末梢の血管に挿入するカテーテルは短いものが用いられますが、例えば心臓カテーテルは太ももの付け根や腕の血管から心臓まで挿入されるため長いものが必要です。検査用のカテーテルは造影だけですが、治療用のカテーテルは中にガイドワイヤーやバルーン、ステントなどを通すため、治療用には検査用より少し太いものが用いられます。脳血管治療などでは、直径2㎜程度のガイディングカテーテルと呼ばれる太めのカテーテルを挿入してからガイディングカテーテルの中に直径0.5㎜程度のマイクロカテーテルと呼ばれる細いカテーテルを通して治療を行う場合もあります。

カテーテルの種類

カテーテルには用途に応じて様々な種類があり、多様な素材・太さ・長さ・形状の製品が提供されています。

血管内カテーテルに用いられる素材は、ポリエステル、ポリウレタン、PTFE (ポリテトラフルオロエチレン) ナイロンなどです。ナイロンとウレタンを混合したポリマーアロイが用いられることがあります。また、先端形状記憶性の機能を付加した製品では、目的部位への挿入がより容易です。

また、尿を排出するための膀胱留置カテーテルには、バルーンカテーテルと呼ばれる、バルーンのついたカテーテルが使用されます。ラテックスアレルギーに配慮して、素材にはシリコンや熱可塑性エラストマーが使用されていることが多いです。短期間の仕様の場合は、シリコンコーティングされたラテックスが使用される場合もあります。

その他、経管栄養にもそれぞれの用途に応じた専用のカテーテルが使用されています。経鼻カテーテル、胃瘻カテーテルを始めとしてそれぞれの用途に適したカテーテルを使用することが重要です。