粗砕機

監修:平野整機工業株式会社

粗砕機とは

粗砕機とは、大きな塊となった固化原料を粗めの大きさに砕く装置です。

食品製造で使用される原料や医薬品原料などの無機性、有機性原料の他、鉱石や砕石などで使用されることもあります。手で解す、床にたたきつけるなどで、人手を使って作業してる際に大きな効果が期待できます。

特徴として、袋詰めの粉末原料が固化した状態でも中身を砕いたり、ほぐしたりすることができる装置も有ります。粉砕機などで細かく粉砕する前段階に粗砕機が使用される場合も多いです。

粗砕機の使用用途

粗砕機は、様々な産業分野における塊の粗砕などに使用されます。下記は使用の一例です。

1. 食品

食品関係の用途には、食塩や砂糖類、乳製品、クエン酸など、固化しやすい原料の粗砕用途があります。製糖・製塩や、清涼飲料水や各種食品の製造で有効です。また、その他塊状の様々な原料の粗砕に用いられます。

主な使用品目には下記のようなものがあります。

  • 食塩類
  • 砂糖・ブドウ糖
  • クエン酸
  • 酢酸ソーダ
  • ビールホップ
  • 各種フレーク
  • 乳製品
  • ココア
  • レモン氷塊
  • 野菜・乾燥野菜
  • 豚骨

2. 化学・医薬品

化学薬品の粉末結晶、医薬品、樹脂など袋の中などで固着しやすく、粗砕が必要になる場合があります。粗砕機を用いることで、人の力よりも細かく、効率的かつ安全にほぐすことが可能です。

主な使用品目には下記のようなものがあります。

  • 重炭酸カリアンモニウム
  • 炭酸水素アンモニウム
  • 硝酸アンモニウム
  • リン酸カリウム
  • ホウ酸
  • パラトルエンスルホン酸
  • 硝酸ニッケル
  • 原料蝋
  • 樹脂ペレット・ゴムペレット
  • ラクタム
  • グルタミン酸ソーダ
  • クイントン系ペレット

3. 採石・建設業

採石業においては、鉱石処理、砕石生産などの一連の破砕・粉砕処理において、一番はじめの段階で使用されます。採掘したままの大きな塊の鉱石や鉱石を崩すことが可能です。

また、建設現場においては、岩石やコンクリートなどの建設材料を砕き、建設資材としてサイズや形状に加工するための最初の粗砕として利用されます。

4. 廃棄物処理

廃棄物処理における、粗砕機の使用目的の1つは、廃棄物の嵩を減らすことです。アルミなどのパネルやバンパー、フィルム、容器などの1次破砕が可能です。金属や木材、プラスチック、紙類などを、数mm程度のチップへ細断することができます。廃棄物細断化により、廃棄物処理コストや廃棄物管理コストの削減につながる場合があります。

また、リサイクル可能なプラスチックやガラス、金属などの場合は、粒度を細かくした上で攪拌することにより物性が均一になり、リサイクル効率を上げることが可能です。

粗砕機の原理

粗砕機は、対象物を大きな力で叩いたり、回転する刃やハンマーで切断・剪断したりすることで砕く機械です。大きな塊を数cmもしくは数mmのある程度の大きさに砕くことに用いられます。

対象物を直接砕く製品のほか、袋の上からほぐすことができる製品もあります。袋の上からほぐす製品は、特に袋体粗砕機と呼ばれる場合があります。袋を損傷することなく、中身だけを粗砕することが可能です。中の塊を砕いて全体を均一にほぐし、均一な厚みに整袋します。製品や内容物にもよりますが、一般的に1分当たり2〜3袋を砕くことが可能です。

対象物の投入方法には、連続投入式とリターン式があります。連続投入式は、一方向の運動で動作しており、投入口に入れた対象物はベルトコンベヤーで運ばれながら粗砕され、順次反対側から出てきます。特に袋数が多い場合などに適する粗砕機です。

リターン式は、投入と破砕が往復運動によって繰り返される仕組みの機械です。連続投入式とリターン式を切り替えることが可能な製品もあります。

粗砕機の種類

粗砕機の種類には、動作機構別では、圧縮式粗砕機、衝撃式破砕機、切断・剪断式粗砕機の3種類があります。

また、細かな分類では、固化した粉体向けに特化した製品や、袋の上から粗砕を行うことに特化している製品などがあります。

1. 圧縮式破砕機

圧縮式粉砕機は、2つの面の間に対象物を噛み込み、圧縮によって砕きます。主にジョークラッシャー (2つの平面で圧縮する)、ジャイレトリークラッシャー・コーンクラッシャー (2つの円錐体の内外壁面を用いて圧縮する) 、ロールクラッシャー (2本のロール間で圧縮する)などの種類があります。ジョークラッシャーは、2平板をV型に配置して、開いた側の端を水平に運動させて圧縮を行う仕組みです。ロールクラッシャーは、二つの回転数を変えて剪断作用を加える場合もあります。

2. 衝撃式破砕機

衝撃式破砕機とは、衝撃力で破砕を行う粗砕機です。

高速回転するローターの周辺に衝撃板やハンマーを取り付け、対象物を上方から円周方向に落下させて打撃を与えます。壁側に反発板を取り付けて、一度衝撃作用を受けた対象物をはね返すことで、繰り返し衝撃を行うようにした構造のものもあります。

ハンマーは、スイングハンマータイプのものもありますが、一般的には固定型が多いです。

3. 切断・剪断式粗砕機

切断・剪断式粗砕機は、鋭利な刃物による切断・剪断により粗砕を行います。大型の一枚刃を落下させて切断するギロチン型シュレッダーをはじめとして、切断用の刃をロール状にしたものや複数刃を高速回転させるタイプのシュレッダーなど、多種多様な製品があります。

鉱物質の対象物よりも、金属、木材、プラスチック、紙などのチップ化として使用されることが多い粗砕機です。

本記事は粉砕機を製造・販売する平野整機工業株式会社様に監修を頂きました。

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