汚物除去機

汚物除去機とは

汚物除去機とは、汚物の付着したシーツや衣類などを下洗い無しでそのまま洗うことができる業務用洗濯機です。

介護現場や福祉施設、医療機関などにおいては、便や尿などが付着したリネンや衣類の洗濯が必要となる場面があります。通常の洗濯機を用いる場合、そのまま洗うことができないため、手洗いをしたり、薬品に1時間以上浸漬させて消毒させたりするなどの処理を経てからから洗濯・乾燥を行うことが必要です。汚物除去機を用いることで、このような時間と人的負担を要する汚物処理の負担を軽くすることができます。汚物除去機を用いることで、漂白・洗浄・脱水を一本化して自動化することが可能です。

汚物除去機の使用用途

汚物除去機は、主に、介護施設、福祉施設、医療機関などにおいて、尿や便、吐瀉物などの汚物が付着したタオル、シーツや衣類の洗濯に用いられる洗濯機です。

洗濯される衣類・リネンは主に下記のようなものがあります。

  • 汚物のついた衣類 (肌着・パジャマなど)
  • 布おむつ
  • 清拭タオル
  • シーツ
  • 医療従事者の白衣やナース服
  • 介護者のユニフォーム

汚物除去機を用いない場合、固形物の除去、下洗い、消毒・漂白などを手作業で行う必要があり、重労働となります。汚物除去機は、下洗い無しで直接洗濯ができるため、省力化・業務負担軽減に有効です。また、汚物除去機を用いることで汚物の洗濯にかかる全体の時間も短くなるため、作業時間短縮の効果もあります。業務用洗濯機の一種であるため、家庭用洗濯機を用いる場合に比べて機械の耐久性が高く、壊れにくい点もメリットの1つです。

汚物除去機の原理

汚物除去機は、業務用洗濯機の一種であるため、ドラム型横開き式の形状が一般的です。汚物を衛生的に処理できるよう、いくつかの点が通常の業務用洗濯機と異なっています。

1. ドラム

ドラムは、ドラム内の排水の穴を大小の組み合わせにすることで、洗浄中に細かくなった固形物をスムーズに排水できる仕組みになっています。通常の業務用洗濯機だと穴が小さく、固形物がドラム内に残ってしまいますが、汚物除去機では全て取り除くことが可能です。

2. 排水配管・トラップ

汚物除去機は、排水口から臭いが逆流するのを防ぐ構造になっており、衛生的に汚物を処理することが可能です。機械内部に排水トラップを内蔵した製品や、大型の排水弁を備えた製品などがあります。

3. 感染対策

汚物除去機は、85℃以上の熱水での10分以上の洗濯など、高温での洗濯により消毒が可能な場合が多いです。また、感染対策のための専用洗剤が用意されている場合もあります。専用洗剤にはいくつかの種類がありますが、白物専用の漂白剤や、ノロウイルスや新型コロナウイルスに対応した酸素系漂白剤、アルカリ性洗浄剤などの種類があります。人の手で下洗いをする場合は、次亜塩素酸が使用される場合が多く、色落ちに気をつける必要がありました。汚物除去機では、色柄物用の洗剤・漂白剤を用いることにより、色落ちを気にすることなく衛生的に消毒を行うことが可能です。

汚物除去機の種類

汚物除去機には、複数の大きさの製品があり、洗濯容量は主に8kg、10kg、11kg、20kgなどがあります。5.5kg前後の小型汚物除去機は、家庭用洗濯機のスペースで設置できるようになっているため、家庭用洗濯機からの入れ替えを想定して製品提供されています。

熱源タイプでは、温水式や電気式、蒸気式があり、このうち電気式と蒸気式では85℃以上の熱水による10分以上の消毒滅菌が可能です。

その他、製品によって特色ある機能を備えている場合もあります。例えば、オムツ専用プログラムを搭載している製品や、洗剤自動投入機能を備えた製品、節水や静音、制振に力を入れている製品などがあります。用途や利用シーンなどに合ったものを選択することが可能です。