監修:アオキアート工業株式会社
不燃化粧板とは
不燃化粧板とは、不燃性 (不燃材料、準不燃材料または難燃材料) の建築資材です。
不燃ボードとも呼ばれ、壁や天井などに用いられます。火災の時に急速に燃え広がり、避難を妨げることがないように、室内の仕上げに準不燃材料または難燃材料が必要な箇所で用いられます。準不燃材料または難燃材料が必要な建物の用途と、建物の中で使用すべき場所は建築基準法で定められています。
不燃化粧板を用いるメリットは、不燃性の材料そのものを用いる場合よりも、内装をすっきりと美しく演出できる点です。また、建築現場で不燃性塗料などを用いて塗装などで仕上げるよりも費用や作業量を管理しやすくなります。
さらに、多くの化粧シートで防水性・耐溶媒性の表面処理が施されており、汚れを簡単に落とすことができるなど、メインテナンス性に優れています。一部の製品はシートの耐熱性にも配慮されるなど多様な製品があり、目的に沿って選ぶことができます。
不燃化粧板の使用用途
不燃化粧板の使用用途は、建築基準法における内装制限により、準不燃材料または難燃材料の使用が義務付けられている箇所の壁材や天井材です。内装制限は建物の用途、規模、構造、火の使用の観点から対象物が定められます。
用途では劇場、病院、ホテル、共同住宅、百貨店など (特殊建築物) 、規模では階数が3階以上、延べ1,000㎡をこえるもの、構造では開口部の無い居室があるもの、火の使用については調理室やボイラー室が対象です。いずれかに該当する場合に、準不燃材料または難燃材料の使用が必要です。なお、調理室には一般住宅のガスコンロのあるキッチンを含みますが、IHクッキングヒーターのみの場合は対象となりません。
不燃化粧板の構造
代表的な製品の構造は、不燃性の板 (不燃コア材, 火山性ガラス質複層板など) に壁や天井に適する化粧シートを貼り付けたものです。製品によっては、裏側に防湿シートを貼り、湿気を通さないようにしているものもあります。
また、必要に応じてシート上にコーティングを行います。化粧シートには合成樹脂のシートを用いるのが主流ですが、天然木由来の木質シートを化粧シートに用いた製品もあります。
このように特徴ある多くの材料の組み合わせでできており、製品ブランドやシリーズごとに外観や性能に幅広い個性がある製品です。不燃性の評価は、材料の選択 (建築基準法で指定されている材料) によるほか、板全体としての性能を評価し、認定を受けることができるため、この点でも個性的な製品の開発が可能です。
不燃化粧板の選び方
不燃化粧板には多様なコンセプトの製品があるため、用いる場所の特徴や、内装のコンセプトに沿って選びます。下記にあげるのはその一例です。
1. 機能
硬い樹脂で表面処理をした不燃化粧板は傷に強く、人が多く出入りするリビングなどに向いています。熱硬化性樹脂を用いた製品は熱に強くガスコンロの近くに適しています。
2. 装飾
合成樹脂シートを用いた化粧板にも木目模様のものがありますが、天然木のごく薄い板をシートに用いた不燃化粧板もあります。天然木の利点は特定の模様のパターンが無く、天然の風合いがあることで、使用場所の特徴に応じ、特に自然な印象を重視する場所で選ばれます。
天然木の代表的な使い方は「突き板」を用いるものです。突き板とは、料理で行う「大根のかつらむき」のように、木材を円周方向に切り出して作成するごく薄い板です。円周方向に切り出すことにより、シート状にごく薄く加工でき、かつ、特徴的な木目を見せることができます。主に木製家具などの表面に張り付ける用途に用いられ、一つの応用が不燃化粧板への利用です。通常、突き板を貼った上から合成樹脂でコーティングし、化粧板としての耐久性とメインテナンス性を確保します。
本記事は不燃化粧板を製造・販売するアオキアート工業株式会社様に監修を頂きました。
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