ブラシ植毛

ブラシ植毛とは

ブラシ植毛とは、ブラシの毛を植毛して植え込みブラシを製造する加工サービスです。

特に、植え込みブラシと呼ばれているタイプのブラシに対して施される加工で、板ブラシや円形ブラシなどの形状があります。ブラシ植毛台にブラシ毛材を植え込むために植毛穴が形成され、その植毛穴に適量のブラシ毛材が植毛されます。工業用部品、製造現場の使用部品や、作業道具などとして使用される工業用ブラシの他、キッチンブラシ、お掃除ブラシをはじめとする家庭用ブラシも植え込みブラシで製造されています。

ブラシ植毛の使用用途

ブラシ植毛は、様々な植え込みブラシを製造する加工に使用されています。ブラシ植毛で製造される工業用ブラシの用途には下記のようなものがあります。

  • 半導体製造装置
  • プール清掃装置用
  • 水処理装置のフィルタ清掃用
  • ロードスィーパー、床掃除、作業現場の清掃
  • 食品洗浄、各種工業洗浄、クリーニング
  • 印刷関連
  • 工業部品・工業製品・食料品の搬送ライン
  • 工業用製品の表面清掃、下地処理、バリ取り、異物除去
  • 研磨用ブラシ

また、ブラシ植毛は、下記のような一般的な家庭用ブラシの製造加工も可能です。

  • 歯ブラシ
  • キッチンブラシ
  • トイレブラシ
  • ボディブラシ
  • 洋服ブラシ
  • 靴ブラシ
  • 各種掃除ブラシ

ブラシ植毛の原理

ブラシ植毛は、植毛台にブラシを植毛することにより植え込みブラシを製造する加工手法です。

手作業で植毛を行う場合のほか、機械式植毛の場合は自動植毛機が使用されます。ブラシ植毛後、毛の長さは最終工程にて、専用のカッターまたはバリカンなどで、指示寸法に刈り揃えられます。ブラシ植毛配列は、並列型・千鳥型・ランダム型など様々な配列があります。一般的には、ブラシ植毛穴径に対し植毛穴深さは2倍の深さが必要です。ブラシ台は、植毛穴深さを確保できる十分な厚みを確保する必要があります。

2. 素材

植毛台の素材には木台や樹脂台、金属台 (アルミやステンレスなど) などの種類があります。木台には、針葉樹、広葉樹、合板などの種類があり、軽くて使用後の廃棄時に焼却処分が可能です。針葉樹は一般的に軽く柔らかい性質があり、一方、広葉樹は一般的に重く硬い性質があります。

樹脂台には、

  • PVC (ポリ塩化ビニール)
  • PP (ポリプロプレン)
  • PE (ポリエチレン)
  • PS (ポリスチレン)
  • ABS (アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)

などの汎用プラスチックのほか、エンジニアプラスチックが使用される場合があります。金型を製作し樹脂成型によって大量のブラシ樹脂台を製造することができるため、樹脂台の植え込みブラシは量産向きと言えます。

また、植え込む主な毛材は下記のような繊維が一般的です。

  • 化学繊維 (PA、PP、PET、PMMA、PBTなど)
  • 獣毛 (豚毛、馬毛、山羊毛)
  • 食物繊維 (シュロ、パーム、サイザル、パキン)

この他、特殊毛材としては、砥粒入りナイロンを研磨用ブラシに使用したり、ペットブラシに樹脂玉が付いた特殊化学繊維を使用したりする場合などがあります。

ブラシ植毛の種類

ブラシ植毛には、下記のような植毛方法があります。それぞれの植毛方法に合わせて手作業で植毛される場合と、機械植毛で植毛される場合とがあります。

  • 丸線植毛: 穴あけ加工した植毛台を用い、又釘状 (ステープル状) の線材 (丸線: 亜鉛メッキ鉄線やSUS線など) によってブラシ素材を二つ折にして打ち込む方法
  • 平線植毛: 穴あけ加工した植毛台に薄い長方形の金属板 (平線: アルミや黄銅平線など) によってブラシ素材を二つ折にして打ち込む方法
  • 接着植え: 接着剤で毛材を固めて植毛する方法
  • 引込植え: 職人自らが自分自身の力で引き込み線を使用して、ミシン縫いのように1穴ずつ引き込み植毛をする工法

植毛穴径・植毛ピッチ・植毛列数などは、ブラシ製品によって様々であり、オーダーメイドブラシ、カスタマイズブラシなどでは自由にカスタマイズすることも可能です。