石灰窒素

監修:明京商事株式会社

石灰窒素とは

石灰窒素とは、農業用資材の一つで、農薬効果、肥料効果、土づくりの3つの効果が得られるものです。

石灰窒素は土壌に施用されると、時間の経過とともに成分が変化し、3つの効果が得られます。最初に農薬効果が得られますが、その後肥料成分へと変化するため、農薬成分が残留しないことも、石灰窒素のメリットの1つです。

国産・ドイツ産の石灰窒素は、農薬取締法の定めによる農林水産大臣の許認可を得ており、農薬登録された資材です。農薬登録された資材は品質や安全性が確認されており、安心して用いることができます。防ぎたい病害虫や雑草ごとに使用量や施用時期、施用方法に従って施用することで、3つの効果を発揮することができます。

石灰窒素の使用用途

石灰窒素は多くの農作物の生産に用いられている肥料です。中でも野菜の栽培には幅広く用いられています。ハクサイ、ホウレンソウ、ネギ、ナス、ダイコン、キャベツ、トマト、タマネギ、サトイモ、ニンジン、キュウリの栽培に用いられています。野菜以外で使用されている作物は、水稲、茶、果樹、いも類、麦、花弁、豆類などです。水稲の稲わら腐熟、麦の麦稈腐熟、茶の選定枝の腐熟など植物残渣を速やかに分解して土壌に還元する腐熟促進の目的で使用されます。

石灰窒素の性質

石灰窒素は土壌に施用されると、時間の経過とともに成分が変化し、農業用資材として3つの効果を発揮します。

まず製造された石灰窒素の成分は、カルシウムシアナミド、酸化カルシウム、炭素などです。カルシウムシアナミドは土壌中の水によって加水分解しシアナミドに変化します。シアナミドは殺菌・殺虫・殺草などの農薬効果がある成分です。シアナミドはさらに加水反応によって尿素を経て、アンモニア態窒素硝酸態窒素となって肥料効果を発揮します。この過程において、シアナミドから副成されるジシアンジアミドは硝酸化抑制効果を発揮し、アンモニア態窒素から硝酸態窒素への変化のスピードを抑制するものです。結果的に緩効性を発揮することによって、窒素の肥効が長効きし、窒素の流亡を減らすことにつながります。この効果により石灰窒素は農林水産省より「肥効調整型肥料」に認定されています。

また石灰窒素で期待できる土づくり効果は、酸度矯正効果、腐熟促進効果、温室効果ガス排出削減効果、連作障害軽減効果です。土壌中に含まれる有機物の分解が促進され、土壌微生物にとって最適な環境づくりになります。結果的に不純な天候や土壌病害に強い土壌環境へ変化していきます。

石灰窒素の種類

石灰窒素は3つのタイプで製品化されています。

粒状石灰窒素

粒状石灰窒素は機械散布に適した、粒状の石灰窒素です。他のタイプと比較すると粒が大きいため飛散しづらいのが特徴です。また撒いてから窒素成分への分解が早いため、高い肥料効果が期待できます。

粉状石灰窒素

粒状よりも細かく粉状にした石灰窒素です。均一に散布しやすいのが特徴で、そのまま散布する方法以外に、水に懸濁した上澄液を散布する方法が、馬鈴薯の茎葉枯凋用途として使われています。

防散石灰窒素

粉状石灰窒素と比較して、風によって飛び散りにくいサイズの粉状にした石灰窒素です。主に鶏、牛、豚の畜ふんの堆肥化処理に利用されています。

石灰窒素のその他情報

石灰窒素の製造方法

石灰窒素は1901年にドイツのアルバート・フランク博士によって発明され世界で最初に製造が始まりました。日本国内での製造は1909年に始まり、日本の農業でも長く使用されてきた肥料の一つです。

石灰窒素の製造はまず、石炭石を石炭炉で焼成し生石灰にします。また電気炉で生成されるのは、コークスや無煙炭から得られるカルシウムカーバトです。さらに大気から分離した窒素とともに窒素炉で高温反応さることによって石灰窒素は製造されます。

以上の工程によってカルシウムシアナミド、酸化カルシウム、炭素からなる石灰窒素が製造されます。

本記事はドイツ産石灰窒素ペルカを輸入・販売する明京商事株式会社様に監修を頂きました。

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