床洗浄機(スクラバー)

監修:株式会社テナントカンパニージャパン

床洗浄機 (スクラバー)とは

床洗浄機 (スクラバー) とは、水や洗剤溶液を用いて床をブラシかけし、備え付けのバキュームで汚水回収までを行う機械です。

雑巾やモップで床を拭いたり洗浄したりする手作業と比較してブラシ清掃と同時に汚水回収を行うので床に残水が残ることなく安全に床洗浄作業が行える機械です。

スクラバーの名称は英語のSCRUB (磨く) から由来します。スクラバーは、作業者が手で押して走行させる歩行型や、人が乗って運転する乗車型と呼ばれる種類があります。また最近ではプログラムに沿って自律的に清掃を行う、ロボットタイプも各社から発売されています。清掃面積に応じて利用することで、清掃の効率化が果たせるのはもちろん、機械による洗浄の為、手作業よりも高い洗浄効果が得られます

床洗浄機 (スクラバー) の使用用途

床洗浄機は、様々な業務用洗浄に利用されている機械です。主にビニール、プラスチックタイルなどのケミカル床人造大理石、コーテッドコンクリートなどの平坦な硬質床での使用に適しており、産業用途では、工場施設、倉庫の床などに付着した切削油や、タイヤ痕などの汚れを落とすのにも多く使用されています。

代表的な使用場所には下記のようなものがあります。

  • 物流倉庫
  • 製造工場
  • オフィスビル
  • スーパーマーケット
  • 商業施設、医療施設
  • 駅、空港
  • 学校、幼稚園、保育園
  • 公共スペース

尚、床洗浄機はカーペット床など軟らかい床、不整地、粉塵が多い場所での使用には適していません。粉塵、土砂汚れを除去したい場合は、業務用清掃機(スイーパー)を使用することが必要です。

床洗浄機 (スクラバー) の原理

1. 概要

スクラバーが床を洗浄する基本的な仕組みは下記の通りです。

1.水(または洗剤溶液)を床面に散布する

2. ブラシやパッドが150~200回転/分で回転し、床面の汚れをこすり落とす

3. ブラシ後ろにある備え付けのバキュームで汚水を回収して床面を乾かす

洗浄は水用のタンクに直接投入される場合や、自動投入機能によりブラシヘッドの前部で直接水と混合される場合などがあります。製品によっては、本体内に電解水とナノバブルを生成する装置を備え、これらを洗浄に利用しているものもあります。

2. 構造

床洗浄機 (スクラバー) は、主に

  • 洗浄水を入れる清水(洗浄液)タンク
  • 汚水を回収する汚水タンク
  • 床を擦るブラシヘッド
  • 床面の汚水を回収するスクイージーとバキュームホース
  • 動力源(バッテリー あるいは エンジンが主流)
  • 操作パネル

から構成されています。製品によっては、洗剤の自動投入機能が搭載されているものもあります。各メーカーが発売している大半のスクラバーには車輪がついており、走行しながら洗浄と汚水回収を行います。動力は、マシンの大きさに合わせて歩行型(電源コード式、バッテリー式)、乗車型(バッテリー式、エンジン式)となっているのが主流です。

ブラシヘッドには、円盤状のディスクブラシヘッドや円柱状のローラーブラシヘッドなどの種類があります。ディスクブラシヘッドはブラシ、パッドのどちらでも選択できるのでブラシによる日常洗浄はもちろん、硬いパッドを使用した軽い研磨作業まで対応できるので様々な現場で使用されていますローラーブラシヘッドは、毛先がしっかり凹凸に追従するので溝や凹凸の多い床などには適しています。またローラーブラシを備えた機械の場合、ブラシの後ろにゴミ受けを備えている場合も多く、パレット片など、少量のゴミであれば洗浄と同時に回収が可能です。

床洗浄機 (スクラバー) の選び方

床洗浄機 (スクラバー)には、小回りの利きやすい歩行型、大型店舗や倉庫など広範囲の清掃に適した乗車型、自動で床洗浄をおこなうロボット型など多くの種類の製品があります。スクラバーの選定においては、洗浄したい汚れの程度、洗浄面積、通路幅などの清掃環境などから適切なものを選択することが重要です。

洗浄したい汚れが床にこびりついたひどい汚れであるならば、多少大きくても、ブラシの接地圧が大きいものを選ぶ必要があります。また総面積が大きくても、通路幅が狭い場合は歩行型を複数台使うことを考えなくてはなりません。

また洗浄の頻度と動力源との関係も重要なポイントです。バッテリー式の場合、一般的にその連続稼働時間は2~3時間です。また充電には8~10時間程度要します。一日中、使わなくてはいけないといった場合、環境が許せばエンジン式のモデルも検討に加えてみるのも良いですし、複数台での運用を考える等の工夫も必要です。

歩行型の簡易なものは小型で取り回しが良く、狭い面積のちょっとした洗浄に適している反面、清水タンクが乗車型と比較して小型になるので、水の入れ替え作業の頻度は高めです。

おおよその目安では、清掃作業面積1万m2あたりで、生産施設の通路の清掃に乗車型スクラバーは1台~2台、ラインの床を掃除する歩行型スクラバーは5台~7台必要とされますが、こうした機械の形態による特長、短所を俯瞰した上で、必要な機種や台数を最適化することが、洗浄作業の効率を向上させるカギになります

本記事は床洗浄機 (スクラバー)を製造・販売する株式会社テナントカンパニージャパン様に監修を頂きました。

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