転写機

転写機とは

転写機とは、熱や圧力をかけて図案を対象物に転写するための機械です。

衣服などの布地や、ポリエステルコーティングされた陶器製品やプラスチック製品など、様々な製品に図案を移すために用いられる機械です。熱と圧力をかける熱転写機、曲面への転写に適しているロール転写機、エアー式熱転写機などの種類があります。一般的には、昇華インクが用いられ、昇華転写機と呼ばれる場合もあります。

転写機の使用用途

転写機は、主にポリエステルをはじめとする布地への図案転写に適しています。主な用途の例に下記のようなものが挙げられます。

  • 一般衣料 : Tシャツ、トレーナー、ウィンドブレーカー、インナー
  • 衣料小物: 帽子・バッグ、靴、手袋
  • スポーツ用品: ユニフォーム、スポーツウェア、体操服、水着、ゼッケン

また、輪転式転写機などの大型転写に対応している製品を用いることで、

  • アパレル用テキスタイル生地
  • タペストリー
  • 大型のホームテキスタイル (カーテン・シーツ・カバー)
  • のぼり旗、横断幕

などの図案転写も可能です。

また、布地以外にもポリエステルコーティングされた陶器や木材、アルミなどの素材を用いた製品に印刷が可能です。具体的な用途には、下記のようなものがあります。

  • マグカップ、タンブラー
  • ICカード、磁気カード、プラスチックカード
  • 化粧品容器
  • 自動車部品
  • 携帯電話、デジタルカメラ、スマートフォンケース
  • アミューズメント部品
  • 筆記具、文具製品

転写機の原理

転写機は、一旦転写用紙と呼ばれる専用の用紙に昇華型プリンターでイメージを印刷したものを転写用紙から目的の布地に転写を行う仕組みです。転写用紙の印刷には専用の昇華転写インクが用いられ、反転したイメージが印刷されます。この際、転写紙にプリントした段階では、仕上がりの色とは異なる色味です。

印刷の目的物であるポリエステルの布地などに、印刷された転写用紙を当て、プレス機で熱と圧力を加えます。プレスの際、転写用紙の染料インクが気化すると同時に、熱によってポリエステルのポリマー分子の結合が緩み、一時的にすき間ができ、染料インクの気体が入り込みます。このようにして入り込んだインクの分子が繊維のなかに拡散することにより、布地の染色が行われるという仕組みです。

転写機は、複雑な形をした物に対しても転写印刷を行うことが可能です。IDカードの印刷や表面がデコボコした雑貨への印刷にも使用され、Tシャツやユニフォームなど、ファブリック製品の印刷にも汎用される手法です。ただし、例えばマグカップの表面にプリントするための「マグカッププレス機」など、対象によっては商品の形に合わせたヒートプレス機が必要となります。

転写機の種類

転写機には様々な種類の製品があります。一般的な熱プレス転写機は、加熱天板で対象素材と転写紙をプレスして圧着し、転写します。手動で圧力をかけるハンド式や、エアーコンプレッサーで圧力をかけるエアー式などの種類があります。製品によっては、ハンド式であっても温度・プレス時間・圧力をデジタル表示することが可能です。Tシャツなどのウェアをかけやすい様、下台の形状が工夫された製品もあります。最大圧力は、製品によって様々ですが、大型の製品で1000kgfにも達します。

ロール転写機は、ローラーを用いて転写を行う転写機であり、平面の他、円筒や曲面へ装飾することが可能です。平面用と円筒用とに種類が分かれています。真空プレス機は、真空と高熱によって特殊な形状の素材に昇華転写を行うことができる装置です。

輪転式昇華転写機は、転写紙や素材をロール状でセットする転写機です。長尺に対応しており、作業効率が高いため大量プリントも容易です。カーテン・シーツ・カバーや、のぼり旗や横断幕、タペストリーなどの大型製品の転写に用いられます。

それぞれの種類について、大きさなどにも様々な種類があります。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。