流量計校正

流量計校正とは

流量計校正とは、測定の不確かさを特定して必要に応じて調整を行い、測定から出力についての機能が正しく行われているかどうかを確認する作業です。

流量の測定に使用される機器の出力と、基準となる流量計の出力との比較を行うことにより、機器の出力を調整します。様々な種類の流量計の校正に対応しています。

流量計校正の使用用途

流量計校正は、計測器の性能の最適化と、製品やサービスの品質を担保するために重要な製品です。主に下記のような目的で行われます。

  • 精度の維持と信頼性の向上
  • 国際基準への準拠した品質管理の一環
  • 事故や品質リスクの軽減

不正確な流量計は、生産プロセスにおける流量の不足または過剰を引き起こし、事故や品質問題につながる可能性があります。定期的な校正をすることで、このようなリスクを避け、安定した生産プロセスの維持が可能です。また、ISO 9001に準拠する企業は、流量計の校正記録を品質監査の際の証拠として提出することが一般的です。このように、流量計校正は、品質管理の一環として重要となっています。

流量計校正の原理

1. 流量計校正の方法

流量計校正の代表的な方法には、マスターメーターを利用する方法があります。国際標準に準拠したマスターメーターを基準として校正対象の流量計の不確かさを比較・評価します。不確かさとは、ばらつきを特徴づけるパラメータで、ある確率で真の値が存在するであろうと考えられる範囲を表すものです。例えば、k=2 約95%の信頼の水準で、不確かさが±0.1%である場合、測定値から±0.1%の幅の中に、真の値が、約95%の確率で存在するということを表しています。この方法は、実際の運用環境に近い条件で実施されるため、高精度での校正が可能です。

また、気体流量計の校正などでは、グラビメトリック式の参照用標準器とラミナフロー式の常用標準器などが使用されます。予め質量が測定された気体ボトルを用い、消費される気体の質量を測定して単位時間あたりの質量流量を定義します。

2. 流量計校正の流れ

流量計校正は下記のような流れで行われます。

  1. 準備: 校正設備の事前点検を行い、校正対象機器を校正設備に取り付けます。
  2. 試験: 実流量による校正試験を行います。
  3. 校正: メーカーより提示されている校正表に基づき、調整ギアの選定、調整作業を行います。
  4. 校正後のデータ収集: 校正結果を確認するため、再度校正試験を実施し、データが基準値に入らない場合、再度校正作業を行います。
  5. 校正記録・報告書作成: 流量計校正で行われた作業、結果値を記録し、報告書を作成します。

流量計校正の種類

1. 認定基準と計量計測トレーサビリティ

流量計校正の認定の一つに、JCSS認定があります。JCSS認定とは、計量器を校正する事業所の技術能力や計量計測トレーサビリティ、品質管理の認定制度です。国際規格であるISO/IEC17025に従って運営され、認定機関である独立行政法人製品評価技術基盤機構の認定センターが審査・認定します。

JCSS校正事業者による校正は、JCSS標章付校正証明書を発行することが可能です。更に、JCSS校正事業者の中で、国際MRA対応認定事業者として認定されると、国際的にも通用するJCSS認定シンボル付の校正証明書を発行することができます。

2. 現地校正と校正設備での校正

流量計校正には、使用している場所で行う現地校正 (オンサイトキャリブレーション) と、校正設備での校正とがあります。現地校正では、より使用環境に近い状態で校正を行うことができ、輸送のための手間が省け、より短時間での校正が可能です。

一方、試験所などの校正施設では、よりシステム化されており、効率的な校正ができる場合があります。質量法・体積法・比較法など、流量計に合わせて、試験方法を選択することが可能です。また、半導体機器や宇宙関連、医療機器などに使用される流量計は、校正環境においても高い清浄度が要求されるため、クリーンルームなどを校正施設に備えている場合もあります。

3. 対応流量計の種類

流量計校正では、提供企業にもよりますが、様々な流量計の校正に対応しています。主なものには下記のようなものがあります。

  • 電磁流量計
  • 超音波流量計
  • コリオリ式質量流量計
  • 面積式流量計
  • 容積流量計
  • タービン流量計
  • 差圧式流量計
  • 気体流量計
  • 湿式ガスメータ
  • マスフローメータ
  • マスフローコントローラ