PFAS除去装置とは
PFAS除去装置とは、水道水などに残留するPFAS (有機フッ素化合物) を除去するための装置です。
PFAS (有機フッ素化合物) とは、炭素-フッ素結合を持つ有機化合物の総称であり、様々な機能性物質に活用されている一方で、自然界や人体における残留性と蓄積性が懸念されています。地下水や河川などにおいてPFASが検出されており、様々なPFAS除去装置・除去技術が開発されています。
PFAS除去装置の使用用途
PFAS除去装置は、主に
- 地下水、井戸水
- 水道水
- タンク貯留水
- 処分場浸出水
- 半導体関連製造現場の排水をはじめとする工場排水一般
- 浄水場
などにおけるPFAS除去に使用されています。
PFAS除去装置の原理
1. PFASとは
PFASとは、ペルフルオロアルキル化合物またはポリフルオロアルキル化合物の総称です (英: Per fluoro alkyl substances) 。有機フッ素化合物であり、C-F結合を有します。PFASには数千にも及び非常に多くの種類があり、特にPFOS、PFOA、PFHxSが代表的なPFASとして知られています。耐熱性や耐薬品性、紫外線耐性があり、水と油の両方をはじくという特徴があることから、下記のような様々な機能性製品に活用されています。
- フライパンコーティング
- 防虫剤
- 雨具の撥水加工
- 耐油・耐水性の食品包装紙
- 化粧品
- 汚れを弾くソファやカーペット
- スマートフォン
- 半導体産業におけるフォトレジスト (感光剤)
- リチウムイオン電池におけるセパレーター
- 泡消火剤
一方で、PFASは、自然界や体内で分解されにくく蓄積しやすい性質があります。特に、水溶性が高いことから工場排水による地下水や水道水の汚染が問題です。PFASの中でも特にPFOAやPFOSは発がん性のおそれがある物質として、現在では製造や使用が禁止されています。数千にも及ぶPFAS全体の毒性や人体への影響は明らかになっていませんが、PFOSやPFOAによる影響としては、免疫力の低下や低出生体重児、コレステロール値の上昇、腎臓がん、前立腺がんなどが指摘されています。
2. PFAS除去技術の原理
PFAS除去装置では、活性炭や樹脂などに吸着させたり分離膜を用いることでPFASを除去することができます。
PFASは通常の浄水器や煮沸消毒によって除去することができません。特に、煮沸の場合、煮沸によってPFASの濃度が高まってしまいます。また、凝集沈殿ろ過、オゾン処理なども効果がありません。
PFAS除去装置に用いられる除去技術には主に下記のようなものがあります。
- 活性炭などの機能性粉体に吸着させる
- イオン交換樹脂に吸着させる
- 逆浸透膜 (RO膜) を利用する
- 泡沫分離法による浄化
PFAS除去装置の種類
PFAS除去装置は、除去機構の種類によって分類することができます。どの製品も、主に水の浄化を目的とした装置です。
1. 機能性粉体
活性炭などの機能性粉体は、PFASを吸着させて除去することができます。プリーツ型フィルターなどに添加して使用されます。PFASをはじめ、有機汚濁物質、VOCs、重金属等の溶存物質を吸着除去することが可能です。
2. イオン交換樹脂
イオン交換樹脂は、PFAS除去に用いることができます。末端に親水性のスルホン酸基やカルボキシル基を持つPFAS類は、水中では電離して陰イオンとして存在する物質です。そのため、陰イオン交換樹脂が用いられます。
ただし、原水に懸濁物質、油分、金属 (鉄やマンガンなど) 、酸化剤などが含まれていると除去性能が低下するため、前処理としてこれらを除去する装置が併用で用いられます。
3. 逆浸透膜 (RO膜)
逆浸透膜 (RO膜) もPFASの除去に有効です。逆浸透膜とは、水分子のみを通すことができる半透膜です。家庭用の小さな浄水器や、逆浸透膜を利用した大規模な水処理プラントなど、様々なものがあります。PFASに加えて、細菌ウイルス類、塩分、農薬、ダイオキシンなどの有害物質も除去することが可能です。