TSV加工

TSV加工とは

TSV (英:Through-Silicon Via) 加工とは、シリコン基板に垂直方向に穴を開けて電線を通す技術です。

TSV加工により、チップ間の接続が垂直方向に実現できるため、面積あたりの集積度が向上します。これにより、チップのサイズを小さく保ちながらも高機能な設計が可能です。チップ間のデータ転送速度も向上します。

また、配線距離が短くなって効率的なデータ転送が可能なため、電力消費が抑えられます。バッテリー駆動のデバイスにおいても、駆動時間を長くすることが可能です。高性能な半導体デバイスや集積回路の設計において、重要な技術の一つです。

TSV加工の使用用途

TSV加工は様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 通信業界

高速なデータ通信が求められる通信機器では、TSV加工を使って集積回路の性能を向上させています。例えば、データセンターや通信インフラにおいて、TSV技術を使用してデータ転送のスピードと効率を向上させることが可能です。これにより、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させることができます。

2. 自動車業界

先進運転支援システムにおいてはカメラやレーダーなどのセンサーが多く使用されます。これらのセンサーから送信されるデータをリアルタイムで処理する必要があります。TSV技術は高速なデータ転送と処理能力を実現し、正確で迅速な運転支援を可能にします。

3. 医療業界

MRIやCTスキャンのような高度なイメージング機器では、TSV技術によって高精度なセンサーやプロセッサを集積しています。これにより、高解像度で迅速な画像処理が可能です。診断の精度を向上させる重要な技術の一つです。

4. 電子機器業界

スマートフォンのプロセッサやメモリは、TSV技術を用いて高性能と小型化を実現しています。例えば、TSVを使って積層型のメモリチップを搭載し、パフォーマンスを向上させつつデバイスの厚さを抑えることが可能です。スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスにおいても、TSV技術を利用して小型化された高性能なセンサーやプロセッサを実装しています。

TSV加工の原理

TSV加工はシリコン基板に垂直方向に貫通する穴を形成し、チップ内外での電気的接続を実現する技術です。高純度のシリコンウェハーを使用します。これらにレーザーやドリルを用いて穴を開けるか、化学的エッチングで掘削する仕組みです。

開口を開けた後、穴の内壁に絶縁層をコーティングして層間でのショートを防ぎます。絶縁層には酸化シリコンや窒化シリコンが用いられることが一般的です。絶縁層の上から銅やチタンなどを通すことで、電気的な接続を確保します。

TSV加工を施したウェハーを個々のチップに切断します。ウェハーをスライスして複数のチップを取り出すことが可能です。

加工後に完成したチップをテストして、性能を確認して品質を担保します。電気的な特性や機能の検査が主なチェック項目です。

TSV加工の選び方

TSV加工サービスを提供する施工業者を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

1. 技術力

TSV加工は高度な技術を要するため、技術力が非常に重要です。TSVの設計・製造経験や専門知識を持つ企業を選ぶ必要があります。 また、メモリチップ向けのTSV加工とプロセッサ向けのTSV加工では要求される技術が異なるため、依頼したい分野に特化したサービス業者を選ぶことも重要です。

2. 品質管理

高品質なTSV加工を保証するために、厳格な品質管理体制を持つ企業を選びます。ISOなどの品質管理認証を有することを確認することが重要です。加工後のテストや検査プロセスがしっかりしていると、最終製品が仕様通りであることが多いです。

3. 製造能力

必要な規模に応じた生産能力を有することを確認します。小ロットから大ロットまで対応可能な企業を選ぶと、柔軟性が増します。最新の製造設備を有する場合、加工精度や効率が高いことが多いです。

4. サポート

加工中や加工後の技術的なサポートが充実していることを確認します。問題が発生した際に、迅速に対応できる体制が整っていることが望ましいです。