フォークリフトバッテリー

監修:株式会社フジエナジー

フォークリフトバッテリーとは

フォークリフトバッテリーとは、電気で動くバッテリー式フォークリフトとエンジン式フォークリフトに使用されるバッテリーです。

バッテリー式フォークリフトは、モーターを動力として電気で動きます。ガソリンで動くエンジン式のフォークリフトに比べてランニングコストが低いという特徴があります。

フォークリフトバッテリーの使用用途

フォークリフトバッテリーは、電気で動くバッテリー式フォークリフトとエンジン式フォークリフトに使用されています。

バッテリー式フォークリフトは、フォークリフトバッテリーシステムに溜め込んだ電気で動くためエンジン式と異なり排気が出ないことから、特に室内での使用に適しています。また、騒音が少なくなるため、住宅街など、騒音への配慮が必要な現場で使用されることも多いです。エンジン式よりも小回りがきくため、取り回し良く作業を行うことが可能です。燃費が良いため、コストダウンの観点から導入されることもあります。

エンジン式フォークリフトはエンジンを始動するバッテリーを使用します。エンジン始動のため、バッテリーサイズはバッテリー式フォークリフトより小さく、自動車バッテリーと同じくらいのサイズです。

フォークリフトバッテリーの原理

1. 概要

フォークリフトバッテリーは、通常の充電池と同様、充電の際に電気エネルギーを化学エネルギーとして蓄え、蓄えた化学エネルギーを電気エネルギーとして放電し、こうした充放電サイクルを繰り返すことができます。

エンジン式フォークリフトとの比較では、バッテリーフォークリフトは基本的に燃費が良いため、コストが低くなる傾向にあります。また、バッテリー式フォークリフトはエンジン式フォークリフトに比べて比較的車体の全長が短く、狭い場所での作業に適しています。一方、バッテリーフォークリフトは、連続稼働時間が短くなりがちであり、また、充電にある程度の時間を要するという点がデメリットです。

2. メンテナンス

フォークリフトバッテリーは二次電池であることから、定期的なメンテナンスを必要とします。

最も基本的なメンテナンスは、バッテリー液(精製水)の定期的な補充です。電解液は、毎回充電前と後に点検する必要があります。特に夏場や、作業環境によって高温な場所、寿命末期のバッテリーでは、頻繁なバッテリー液面チェックが必要です。

日常の取扱いでは、過放電防止、過充電防止に気をつける必要があります。すなわち電圧が全容量の20%以下にならないように充電を行い、充電時は電解液温度が50℃を超えないように注意することが必要です。充電は電圧残量が全容量の30~35%になった時に一度に行うことが適切です。放電後に充電を行わず放置をした場合、バッテリー内のマイナス極板にサルフェーション(結晶物質)が付着し、バッテリーの電気の流れを阻害します。サルフェーションは通常充電で液中に溶けますが、放置期間が長いバッテリーはサルフェーションが固着化し、充電では液中に溶かすことができずにバッテリーの寿命を迎える結果となります。放電後は必ずこまめに充電を行うようにしてください。

フォークリフトバッテリーの種類

フォークリフトバッテリーの種類には主にリチウムイオン電池と鉛蓄電池があります。更にそれぞれの種類の中でも様々な製品があります。

1. 鉛蓄電池

鉛蓄電池 (鉛バッテリー) は正極に二酸化鉛、負極に鉛を使用しており、電解液として希硫酸を用いています。正極・負極の双方から電解液中に硫酸イオンが移動することで充電され、電解液中の硫酸イオンが正極・負極の双方に移動することで放電を行う仕組みです。

一般的に鉛蓄電池はリチウムイオン電池と比較し安価で提供されています。運用期間中はバッテリーメンテナンス、単セル交換や電解液補充などのランニングコストがかかります。一般的に充電時間は8〜10時間程度、稼働時間は4〜5時間程度です。一般的に寿命はサイクル数で表すことが多いです。以下写真参照

フォークリフトバッテリー

現在、市場では2種類の鉛蓄電池がフォークリフトバッテリーで使用されています。

①鉛溶接式:従来のバッテリーセル同士を鉛棒でガス溶接を行い、バッテリーシステムをくみ上げる方式です。バッテリー単セルの交換の際にはディーラーまたはガス溶接の熟練者による作業が必要です。以下写真参照

フォークリフトバッテリー

②ボルトコード接続式:欧米で主流のボルトコード接続式はバッテリーセル同士をボルトとコードで接続してバッテリーシステムをくみ上げる方式です。従来の鉛溶接式と異なり、バッテリー単セル交換の際にはディーラーまたはガス溶接の熟練者による作業が不要なため、容易に補修が可能です。ケーブル接続のため、振動が大きい現場などでは溶接棒の亀裂や破損の心配がありません。以下写真参照

フォークリフトバッテリー

2. リチウムイオン電池

リチウムイオン電池 (リチウムイオンバッテリー) は、正極にリチウム含有金属酸化物、負極に炭素系素材、電解液は有機電解液が使用されます。充電時には正極側にあるリチウムイオンが、電解液を通って負極側に移動し、放電時には負極に蓄えられていたリチウムイオンが正極に向かって移動することで電流が流れる仕組みです。フォークリフトバッテリー用では安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池が多く採用されています。

リチウムイオン電池は、一般的に充電時間は1〜2時間程度、稼働時間は10時間以上、耐用年数は10〜15年です。価格は鉛蓄電池より高いものの、鉛蓄電池よりも寿命が長く買い替えの回数が少なくなるため、長期的にはコストが低くなります。また、鉛蓄電池で必要なバッテリーの補水作業も不要であり、充電時間が短いことからスペアバッテリーの用意も不要です。

本記事はフォークリフトバッテリーを製造・販売する株式会社フジエナジー様に監修を頂きました。

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