監修:アメテック株式会社ザイゴ事業部
白色干渉計とは
白色干渉計とは、光の干渉を利用して対象物表面の形状や特性を測定する装置です。
光の干渉とは、光波が出会って相互作用し合う現象です。2つ以上の光波が出会うと、その波の振幅が加算または相殺されることがあります。これによって、明るい部分や暗い部分が現れる現象が干渉です。
白色干渉計は白色光を光源とし、干渉対物レンズを通して対象物へ照射し、光の干渉具合を検知することで表面性状を測定する装置です。微細な表面の凹凸を顕微鏡視野で測定することができます。高さ方向ではナノメートルオーダーの変化を捉えることが可能であり、視野全体を一括で測定することから短時間で対象物の表面を測定することが可能です。光学式のため、測定対象物にダメージを与えない非接触測定である点も特徴です。
一般的には、光を反射しやすい物体の表面測定に使用します。また、振動などによって測定結果が影響される場合もあります。
白色干渉計の使用用途
白色干渉計は様々な産業で使用されます。以下はその一例です。
1. 半導体産業
半導体製造では非常に薄い薄膜を堆積させることが一般的です。その為、堆積させる前のウェーハの表面性状は重要になります。白色干渉計はこれらの表面形状を非常に高い精度で測定するのに役立ちます。微細構造物の形状や透明膜の膜厚評価にも利用されます。
2. 素材産業
素材の表面形状は、その性能や特性に大きな影響を与えます。白色干渉計は表面の凹凸や形状を非常に高い精度で測定するのに使用されます。例えば、防錆コーティングや光学コーティングなどの状態確認がその一例です。
3. 光学部品産業
光学部品の製造業界では、白色干渉計がレンズやミラーなどの光学部品の表面形状や品質を検査するために使用されます。表面の平坦性や粗さを評価し、製品の品質を確保するのに役立ちます。
4. 精密機械産業
精密機械部品の製造では、部品の表面形状が非常に重要です。例えば、精密歯車やベアリングなどの部品は、表面の平坦性や粗さが性能に直接影響します。白色干渉計はこれらの表面形状を非常に高い精度で評価するため、製品の品質を確保することが可能です。
白色干渉計の原理
白色干渉計の原理は光の干渉に基づいています。光は波動の性質を持ち、2つの光波が合わさるときには、波の位相が一致する部分では光の強度が増幅され、波の位相が逆位相の部分では光の強度が減衰します。これにより、明るい干渉縞と暗い干渉縞が交互に現れる干渉パターンが形成されます。
白色干渉計は光源として白色光を使用するため、干渉パターンはさまざまな波長の光の干渉によって形成されます。これにより、高精度な表面性状の測定が可能であり、高さ方向の分解能は対物レンズの倍率に依存しません。干渉パターンから、表面の高さや形状の微細な変化を測定することができます。
白色干渉計は干渉対物レンズという特殊な対物レンズを使用します。干渉対物レンズ内で入射光を分割するためにビームスプリッターが使用されます。光を分割することで、参照光とサンプル表面からの反射光を比較することができます。参照光は平らな鏡などが使用され、これらの比較によって表面性状を測定します。
白色干渉計の選び方
白色干渉計を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。
1. 分解能
分解能は測定装置が試料の表面形状や特性をどれだけ詳細に解像するかを示す指標です。分解能が高いほど、より微細な特徴を捉えることができます。nmやμmなどの単位で表されることが多く、目的に応じて十分な分解能を持つ装置を選ぶことが重要です。
2. 繰り返し再現性
繰り返し再現性は、目的のサンプルを測定したときに、どの程度の再現性があるかを示します。いくら高精度に測定が出来ていても、同じサンプルを測定したときに値がバラついてしまったら、どのデータを信頼するべきか分からない為、非常に重要な指標の一つです。
3. 感度
非常に粗い粗面や急峻な形状を測定するためには、感度が非常に重要です。感度が良くない場合、データ抜けが生じたり、極端な場合は測定データが全く取得できなかったりする場合があります。また、サブナノのSaを持つような超鏡面の表面性状を測定する場合も、感度が劣ると信号がノイズに埋もれてしまい、測定結果に正確性を欠くこととなります。
4. 視野角
視野角は測定装置が試料の面積をどれだけ広範囲にカバーできるかを示す指標です。広い視野角を持つ装置は大きな試料や広範囲の測定に適しています。視野角の選定は、試料のサイズや形状に合わせて行う必要があります。
5. 試料サイズ
対象の試料サイズは白色干渉計の重要な要素です。一般的に大きな試料を測定したい場合、大型の装置を導入する必要があります。試料設置台の耐荷重なども確認する必要があります。
6. インターフェース
白色干渉計のインターフェースは、装置の使いやすさやデータの取り扱いやすさに影響します。PC接続やデータの保存・解析機能、ユーザーインターフェースの使いやすさなどが重要な要素です。また、自動化やリモートアクセスなどの機能も、用途によっては重要な場合があります。
本記事は白色干渉計を製造・販売するアメテック株式会社ザイゴ事業部様に監修を頂きました。
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