ファン付き作業着

ファン付き作業着とは

ファン付き作業着とは、服に取り付けた小型ファンで服の中に外気を取り込み、汗の気化熱で身体を冷やす仕組みを備えた作業着です。

ファン付き作業着は、ウェア・ファン・バッテリーの3つがセットになって使用されます。真夏や暑さの厳しい現場などの暑さ対策に着用される作業着です。風によって温度を下げるのではなく、風を取り込むことで汗の蒸発を促し、汗の蒸発によって身体の表面の温度を下げる仕組みとなっています。尚、一般的に知られている「空調服(R)」は、株式会社空調服の登録商標です。

ファン付き作業着の使用用途

1. 使用にあたって期待される効果

ファン付き作業着は、暑さの厳しい現場や、炎天下での作業などにおいて暑さ対策に着用される作業着です。身体を冷やすことで快適に過ごすことができ、熱中症などの予防効果が期待されます。また、無駄な汗をかかなくなるため体力の消耗が抑えられる、汗臭が減る、あせもなどの皮膚疾患の予防ができるなどのメリットがあります。

また、エアコンと異なり、人体だけをピンポイントで冷却するため、エネルギーコストを抑えることが可能です。作業員一人あたりの作業効率が上昇すると考えられるため、作業人員のコストも下げられると考えられます。

2. 具体的な使用シーンの例

ファン付き作業着には様々な種類があることから、様々な業界・分野で使用されています。下記は具体的な例の一部です。

  • 建設現場
  • 建築業界
  • 道路工事
  • トンネル工事
  • 自動車整備
  • 林業
  • 漁業
  • 造園業
  • 溶接など火気を扱う製造現場
  • 高所作業
  • 交通整理、線路整備
  • 守衛業務、駐車場誘導
  • イベントスタッフ

また、業務用以外にもカジュアルで家庭用に普段使いできるようなデザインのファン付き作業着も多く販売されており、

  • 各種レジャーやアウトドア (キャンプ・ゴルフ・釣りなど)
  • DIYやガーデニング、犬の散歩などの趣味

などでも着用されることが多くなっています。

ファン付き作業着の原理

1. 冷却の仕組み

ファン付き作業着において、ファンにより取り込まれた空気は作業着と身体を平行に流れます。風が流れる過程で、身体にかいた汗を蒸発させ、身体が気化熱により冷える仕組みです。汗が気化して生じる、身体の表面の暖かく湿った空気は襟元と袖口より排出されます。かいた汗が瞬時に蒸発され続けている状態を保ち、身体の状態に応じた適切な冷却を行うことが可能です。汗 (水) 100mLが蒸発すると、氷800gが解けるときと同じ熱量を体から奪うことができます。

2. ファン付き作業着の構成

ファン付き作業着は、着用するウェアの他、専用バッテリーと、空気を取り込むファン2個、それらを繋ぐケーブルで構成されます。ウェアの洗濯時には簡単にファンの取り外しが可能です。

裾には風を逃さないよう、裾ゴムが入れられています。また、製品によっては襟の内側に調整紐があり、調製紐を留めることで、首元とウェアの間に空気の通り道が生まれ、より涼しくすることができます。

ファン付き作業着の種類

1. 形状

ファン付き作業着は、様々な現場で使用されることから、現場に合わせて、豊富な種類があります。

  • ベスト
  • 長袖ブルゾン
  • 半袖
  • つなぎ

などの基本的な形状のほか、

  • フード付き (ヘルメットを被ったまま着用可能)
  • フルハーネス対応 (高所作業用)
  • 防炎素材 (火気取扱)
  • 防水・撥水機能を持つレインウェアタイプ
  • 高視認証安全服 (交通整理など)

などの機能性を持った製品があります。現場の特性に合わせて最適なものを選択することが可能です。

2. 素材

ファン付き作業着には、主に、綿やポリエステルが使用されます。

綿100%のファン付き作業着は、火に強く、吸水性や吸湿性に優れています。ただし、洗濯によって、生地の緩みや、色落ちが発生する場合があります。

ポリエステル100%は、最も涼しく感じられる素材です。撥水や透湿、UVカットなどの加工がしやすい人工素材です。ただし、熱に弱いため火気を扱う現場では使えません。

綿とポリエステルの混紡は、綿の着心地のよさと、ポリエステルの優れた冷却性能を合わせ持った素材です。