静電気ジェネレーター

静電気ジェネレーターとは

静電気ジェネレーターとは、静電気や高電圧・低電流の電気を発生させる発電機の一種です。

静電発電機や起電機などの名称で呼ばれることもあります。静電気を発生させる製品としては、静電高圧発生装置、帯電ガンなどの製品名で販売されるケースが一般的です。

静電気ジェネレーターの使用用途

静電気ジェネレーター・静電発電機は、静電気を発生させることで、放電現象を観察したり、物質の導電性を確認したりすることができます。そのため、科学教育における実験や核物理学などで用いられている装置です。

また、高電圧を発生させることが可能で、産業応用ではX線管の電源、医療、食品の殺菌などの用途があります。ただし、今日では実用的な高電圧電源として静電気ジェネレーターよりも、半導体回路を用いるケースの方が多くなっています。

なお、静電塗装で用いられる静電スプレーガンや各種帯電ガンは、静電気発生の原理を利用しています。静電塗装は塗料の粒子に静電気を帯びさせ、被塗物に均等に付着させる産業技術です。また、静電気試験機も人為的に静電気を発生させる装置として静電気ジェネレーターの亜種と考えることもできます。帯電ガンの具体的な使用例は下記のとおりです。

  • 紙、箔、プラスチックシートなどの非金属を金属 (板) に吸着させる
  • 帯電性能試験 (紙、プラスチックシート、繊維など)
  • プラスチック粉体、各種セラミック粉体を吸引・吸着させる
  • 微細粉の帯電塗布
  • エレクトレット製造用電源
  • ナノファイバー製造用エレクトロスピニング装置の電源

静電気ジェネレーターの原理

静電気ジェネレーターは、物体の摩擦を利用して静電気を発生させています。摩擦帯電を利用した代表的な静電気ジェネレーターの例として、ヴァンデグラフ発電機が挙げられます。ヴァンデグラフ発電機は、2本のローラーにベルトをかけて回転させることで帯電を起こし、電荷を運んで中空の金属球に電荷を帯電させる装置です。ヴァンデグラフ発電機では、高圧の直流電圧を発生しますが、発生する電流は低電流です。

それ以外では、ガラスの円盤を回転させて摩擦によって帯電させるエレクトロフォースマシンや2枚の円盤と円盤にある多数の金属扇片を用いて帯電させるウィムズハースト式誘導起電機などの静電ジェネレーターがあります。ウィムズハースト式誘導起電機は、摩擦起電機ではなく静電誘導を用いた起電機です。

また、静電ガンなどの産業用途で用いられる静電気ジェネレーターの類では、電極ピンに直流電源から高電圧を印加することで帯電させ、静電気を発生させています。EHD発電機は、荷電流体によって電荷を運ぶ方式の発電機です。

静電気ジェネレーターの種類

前述の通り、摩擦帯電を利用した静電気ジェネレーターにはヴァンデグラフ発電機、エレクトロフォーシスマシンなどがあります。また、ウィムズハースト式誘導起電機は静電誘導を利用した起電機です。また、帯電ガン・放電ガンと呼ばれる種類の機器は、引き金を引くだけで先端の電極が帯電する仕組みになっているため、対象物に向けて引き金を引くだけで静電気を発生させることができる装置です。

用途別では、教育上の目的で用いられる演示実験用のものや、静電塗装など産業上の目的で用いられるものなどがあります。装置の大きさや、出力電圧などは、装置によって大きく異なります。使用する場合は用途に合わせたものを選択することが必要です。

静電気ジェネレーターのその他情報

静電気発生の原理

物質を構成する原子の中には、電荷が存在しています。原子の構成要素のうち、プラスの電荷を帯びているものが原子核、マイナスの電荷を帯びているものが電子です。

摩擦によって2つの物体が擦れ合うと、一方からもう一方に電子が移動して、一方の物体にはマイナスの電荷が蓄積し、他方の物体にはプラスの電荷が蓄積します。このように電気的偏りが生じた状態を帯電と呼び、「静電気が発生した」状態であると呼びます。