静電気除去シート

監修:ユニバース開発株式会社

静電気除去シートとは

静電気除去シートとは、静電気を取り除くための特殊なシートです。

静電気は物体が摩擦や接触などの作用で帯電する現象です。静電気が放電する際に、周囲の物体や人体に害を引き起こすことがあります。

また、空調機(エアコン)では室内機が室内から空気を取り入れる際に、静電気の影響で空気の流れに偏流が生じて流路抵抗が増し、熱交換性能が低下し余分な電気(ガス)を消費します。

その他、電子機器の製造現場などでは、静電気の発生が製品不良に直結する場合も多いです。

静電気除去シートは特殊な材料・コーティングによって製造されており、静電気を吸収または放電、中和(除電)することで放電、帯電現象の発生を抑制します。これにより、静電気による機器の故障を防止、空調(エアコン)では熱交換効率を回復することが可能です。また、静電気が原因でホコリや汚れが付着しやすい環境では、これらのシートを使用することで清潔さを維持することができます。

静電気除去シートの使用用途

静電気除去シートは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 半導体産業

半導体製造では微細な回路や部品を扱うため、静電気が非常に重要な問題です。静電気が半導体に放電されると、微小なダメージが発生し、製品の性能や信頼性に影響を与える可能性があります。静電気除去シートはこのような微細な作業環境で静電気発生を抑制するために使用されます。

2. 自動車産業

自動車製造では、塗装プロセスや部品組み立てプロセスで静電気が問題となることも多いです。特に塗装工程では静電気が塗料の均一な塗布を妨げたり、不均一な仕上がりを引き起こす可能性があります。静電気除去シートによってこれらの問題を解決し、製品の品質を向上させることが可能です。

3.空調・エアコン

空調機は冷媒を凝縮する室外機と冷媒を蒸発させて冷風を作る室内機から構成されています(冷房運転の時)。

室内機が室内から空気を取り入れる際、空気は室内機ファンとの摩擦によりプラス(+)に帯電します。プラス(+)に帯電した空気は相互に反発し合い、空気の流れに偏流が生じて流路抵抗が増します。このため、熱交換性能が十分発揮できず、室外機の圧縮機動力を増大させています。

プラス(+)に帯電した空気がマイナス(-)電位を維持した静電気除去シートに触れることで、空気をゼロ(0)電位に近づけ、熱交換性能を回復させます。

そのため、冷媒蒸発を効率よく行なえるようになり、室外機の消費電力を低減させることができます。

4. 医療

医療機器は清浄な環境で扱う必要がありますが、静電気が発生すると粒子や微生物を吸着する可能性があります。したがって、手術室や清浄室においても静電気除去シートが有用です。これにより、医療機器の清潔さを維持し、患者の安全を確保することが可能です。

また、医薬品や医療機器はクリーンルームで製造されることも多いです。静電気除去シートによって静電気の発生を抑制し、塵や微粒子がクリーンルームへ侵入するのを防止する場合があります。

5. オフィス・家庭

オフィス環境ではコンピューターなどの電子機器が静電気によるダメージを受ける可能性があります。特に空気が乾燥している場合に静電気が発生しやすくなるため、静電気除去シートによってこれらの機器を静電気から保護します。液晶テレビなどの家電製品においても、画面にホコリや指紋が付着するのを抑制することが可能です。

静電気除去シートの原理

静電気除去シートは静電気を効果的に除去することが可能なシートです。構造としては、基材や導電層から構成されます。

静電気除去シートの基材は、導電層などを支持するための基礎部材です。一般的にポリエステルやポリウレタン(低密度ポチエチレン)など、柔軟で耐久性のある素材を使用されることが多いです。これにより、シートは長期間にわたってその性能を維持することができます。

導電層は静電気の吸収と放電を担当する部分です。通常は金属粉などの導電性粒子が分散されており、シート全体が導電性を持つようになります。これにより、静電気を吸収し、放電することが可能となります。

空調用の静電気除去シートには練りこまれた特殊天然鉱物がマイナス(-)電位を維持し、シートに触れることで(+)の静電気を中和(除電)します。

静電気除去シートの選び方

静電気除去シートを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 寸法

静電気除去シートの寸法は、使用する場所や対象物のサイズに合わせて選択する必要があります。シートが対象物を十分に覆うことができるように、適切なサイズを選ぶことが重要です。カット可能なロール状のシートや事前に切り出されたシートなども販売されています。

また、静電気除去シートの厚さはシートの柔軟性や耐久性に影響を与える要素です。一般的に厚いシートほど耐久性が高く、より長期間使用できる傾向があります。ただし、厚さが増すと柔軟性が低下する場合もあります。

空調用の製品では、1サイズでカット等して使用できるものがあります。

2. 体積抵抗

体積抵抗は静電気除去シートの導電性を示す指標です。シートが静電気を除去する能力に直接影響します。一般的に体積抵抗が低いほど導電性が高く、効果的に静電気を除去することが可能です。

3. 材質

静電気除去シートの材質は耐久性などに大きな影響を与えます。ポリエステルやポリウレタン、シリコン(低密度ポチエチレン)などの素材を使用することが多いです。これらの材質は柔軟性や耐久性、耐化学性などを有する材料です。

本記事は静電気除去シートを製造・販売するユニバース開発株式会社様に監修を頂きました。

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