多孔質体

多孔質体とは

多孔質体(ポーラス体)とは、内部に多数の小さな空孔や空げきが形成されている物質をいいます。自然界にも多孔質体は多く存在しており、軽石や炭、貝殻、植物、骨などの組織は、多孔質構造をしています。また、蜂の巣も中空の正6角柱が隙間なく敷き詰められた多孔質構造をしており、通称ハニカム構造と呼ばれています。

自然界の物質だけでなく、産業界においても、金属や樹脂、ガラスなどを加工して、人工的に多孔質構造を形成し、利用目的に応じた多孔質体を数多く製造しています。

多孔質体の使用用途

自然界に存在する多孔質体を利用する場合も多く、主な天然の多孔質体とその用途として次のようなものがあります。

また、さまざまな材料を用いて製造した多孔質体も広い分野で利用されています。

  • 多孔質金属(ポーラスメタル):建築物や産業機械の構造材、自動車の衝突緩和材・フィルター、人工骨・インプラント
  • 多孔質ガラス(ポーラスガラス):分離膜、触媒担体
  • 多孔質樹脂(発泡樹脂断熱材、緩衝材、吸音材

多孔質体の特徴

多孔質体の特徴は、組成成分だけでなく多孔質構造の態様によっても違いが生まれます。例えば空孔のサイズは、多孔質の性質に大きく影響します。吸着材や分離材として多孔質体を用いる場合は、空孔のサイズによって、吸着・分離できる分子の大きさが違ってきます。また、構造部材として多孔質体を用いる場合、空孔が小さいほど機械的強度は高くなりますが、重量は増しますので、そういった要素のバランスを考えて部材を選定する必要があります。

空孔の形成状態も多孔質体の性質に影響します。多孔質構造には、個々の空孔が独立して形成されている「独立孔構造」や隣り合う空孔がつながって形成されている「連続孔構造」があります。

発泡スチロールや発泡ウレタンなどの多孔質樹脂を例にとると、独立孔構造の多孔質体は、内部に気体や液体を通しません。つまり、多孔質体内部には常に空気が閉じ込められた状態にあるので、断熱性や浮揚性、緩衝性が高くなります。一方、連続孔構造の多孔質体は、独立孔構造に比べて剛性は低くなりますが、吸水性や吸音性に優れた性質を有しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です