りん脱酸銅

りん脱酸銅とは

りん脱酸銅は、の割合が99.9%以上の純銅の1種です。

代表的な純銅の種類として、主にタフピッチ銅無酸素銅、りん脱酸銅が挙げられます。そのなかで、りん脱酸銅は、純銅のなかに少量のリンが添加されているのが、上記した他の2つの純銅との違いです。具体的なりん脱酸銅の化学成分は、銅(Cu)が99.9%で、リン(P)が0.015%から0.040%になります。

りん脱酸銅の製造方法は、三段階あります。第一段階として、電解精錬法を用いて、粗銅から電気銅を得ます。続いて、酸化処理を行い、不純物を取り除きます。最後に、リンを添加します。この過程で、りん脱酸銅を得ることができます。

りん脱酸銅の使用用途

りん脱酸銅は、高い熱伝導性を有する物質です。また、りん脱酸銅は、絞り加工性、溶接性、耐食性がよく、加工しやすい特徴を持ちます。そのため、りん脱酸銅は、使い勝手がよく、さまざまな分野で用いられています。

具体的なりん脱酸銅の使用用途として、化学工業用品、給湯器用材料、ヒューズキャップ、空調配管材、建築用材料、風呂釜、水道用材料、電気冷蔵庫用材料、ガスケットなどが挙げられます。また、りん脱酸銅は、銅溶接の際の溶接棒としても用いられています。

りん脱酸銅の特徴

りん脱酸銅の最大の特徴は、タフピッチ銅、無酸素銅とは異なり、製造過程でリンが添加されている点です。このリンが脱酸剤として機能します。上述したように、りん脱酸銅の製造では、初めに電解精錬法を用いて、粗銅から電気銅を得ます。しかし、この電気銅には、酸素が含まれています。純銅に酸素が含まれていると高温加熱したときに、酸素が水素と反応を起こして、水蒸気が発生してしまいます。しかし、りん脱酸銅では、この酸素をリンが除去します。このようにりん脱酸銅では、高温加熱下でも、水蒸気が発生しないという利点があります。

しかし、りん脱酸銅中に残存するリンがデメリットにもなります。この残存リンは、りん脱酸銅の電気伝導性を低下させる原因になります。そのため、純銅の1種であるタフピッチ銅と電気伝導性を比較すると、りん脱酸銅の電気伝導性は、タフピッチ銅の電気伝導性に比べて、約85%に留まるということが知られています。

このようにりん脱酸銅には、長所短所があるので、りん脱酸銅の特徴にあった使用方法を選択する必要があります。

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