計器用変成器とは
計器用変成器とは、測定計器が読み取るために電流や電圧を変換する装置です。
電力会社などが取り扱う電気は、一般的に6,600Vやそれ以上の高い電圧で送電されることが多いです。電圧の品質を一定に保ったり、電気の導通を確認するために、測定計器によって電圧・電流の高さを確認する必要があります。ただし、これらの高い電圧を測定計器で直接読み取ることは現実的ではないため、計器用変成器によって取り扱いやすい電圧・電流レベルに変換して測定します。
計器用変成器によって電圧や電流を正確に変換するため、精度の高い測定を行うことができます。これにより、電力量の測定や制御を正確に行うことが可能です。
計器用変成器に使用用途
計器用変成器は様々な場面で使用されます。以下はその一例です。
1. 発電所
発電所では発電機から出力される電圧や電流を計測し、送電電力や力率などを制御する必要があります。計器用変成器は発電機から出力される高電圧や高電流を計器が扱えるレベルに変換し、電力量の正確な計測や制御を可能にします。これにより、発電所の運転効率を最適化し、設備の保護や安全性を向上させることが可能です。
2. 変電所
変電所では送電線からの高電圧を変換して低電圧に配電するために変圧器が使用されます。計器用変成器は変圧器の出力側電圧などを計測し、制御するために使用されます。また、計器用変成器で異常な状況や過負荷を検出し、必要に応じて電力を遮断することが可能です。
3. 需要設備
工場や商業施設などの電気を消費する場所では、電力の消費量を正確に計測するために計器用変成器が使用されます。電力の使用状況を把握し、エネルギー管理を実施するための指標とすることが可能です。また、電力会社との電気のやり取りも、計器用変成器を用いて実施する場合も多いです。
電力品質の監視や改善のためにも計器用変成器が使用されます。電圧の安定性や波形の歪みなどを計測し、必要に応じてタップ切替やコンデンサ投入などの調整を実施します。これにより、電気の品質を一定に保つことで設備の信頼性や安全性を向上させることが可能です。
計器用変成器の原理
計器用変成器の原理は、主に電磁誘導の法則に基づいています。
電圧を変換する場合、高電圧を低電圧に変換する機器がほとんどです。鉄心にコイルが2つ巻かれており、高電圧側のコイルに交流電圧を印加すると低電圧側のコイルにおいて、誘導によって電圧が発生する仕組みです。コイルの巻線比によって、変換する電圧のレベルを調整することが可能です。
電流を変換する場合は、高電流を低電流に変換する機器がほとんどです。高電流側の導線上に電流が流れると周囲に磁場を生じ、この磁場を低電流側の導線に誘導させて電流を変換する仕組みです。電流の場合もコイルの巻線比を調整することで、変換する電流のレベルを調整します。
計器用変成器の種類
計器用変成器には、主に以下のような種類が存在します。
1. 電流変成器 (CT)
CTは高電流を低電流に変換するための変成器です。主に発電所や変電所で使用され、電力系統内の高電流を計測および保護するために利用されます。通常、二次側の電流は1Aまたは5Aといった標準的な値に変換されます。
2. 電圧変成器 (VT)
VTは高電圧を低電圧に変換するための変成器です。電力系統内の高電圧を計測および保護するために利用されます。一般的に二次側の電圧は100Vまたは110Vといった標準的な値に変換されます。
3. ゼロ相電流変成器 (ZCT)
ZCTは対地間を流れる電流がゼロであるかどうかを検出するための変成器です。主に地絡検出器や保護装置で使用され、電力系統における地絡を検出して対処するために利用されます。二次側の出力は正常な動作時にはゼロですが、地絡が発生した場合にはゼロ以外の数値となります。
4. 接地形計器用変圧器 (EVT)
EVTは対地間に印加される電圧を測定する変成器です。主に絶縁監視装置や地絡検出装置などの保護装置で使用されます。地絡事故時に対地間の電圧などが変化することを検出するための装置です。