監修:フリアーシステムズジャパン株式会社
防爆カメラとは
防爆カメラとは、爆発性のある環境で使用するために設計されたカメラです。
粉塵が舞う建物内や可燃性物質を扱う工場などでは、火花や静電気などが発生すると爆発を引き起こす危険性があります。防爆カメラはこれらの危険性を最小限に抑えるために特別な安全基準に準拠し、爆発のリスクを減らすように設計されています。石油化学工場や鉱山など、爆発性のある環境で安全に状態を監視するために使用されます。
防爆カメラの使用用途
防爆カメラは爆発性のある環境で使用されます。以下はその一例です。
1. 石油化学工場
石油化学工場では、高温・高圧の条件下で危険物質が扱う場合も多いです。防爆カメラはプラント内の異常を早期に検出し、作業員の安全性を確保するために使用されます。一例としては、石油や化学物質の貯蔵タンクの状態を監視し、漏れや発火などの問題を検出するために使われることが多いです。
2. 鉱山
鉱山では爆発性のガスや埃が発生することも多いです。これらのガスや埃が着火すると、爆発によって作業員の安全が脅かされます。防爆カメラは採掘現場の安全性を監視し、作業員が危険な状況にさらされないように支援します。
また、鉱山内のトンネルなどは、一般的に狭くて暗い環境です。防爆カメラはこれらの領域を監視し、作業員の移動などを追跡することで安全を確保するのに役立ちます。
3. 製薬工場
製薬工場ではクリーンルームで製造作業が行われることも多いです。また、爆発性のある化学物質が使用されることもあります。防爆カメラはクリーンルーム内の作業プロセスを監視し、生産品の品質管理や作業員の安全を支援します。
4. 船舶
船舶内部のエンジンルームは、高温かつ化学物質が存在するため、爆発のリスクが高い場所です。防爆カメラはエンジンルーム内の状態を監視し、火災や爆発のリスクを軽減します。原油などの油製品を輸送する際にも必須となる監視装置の一つです。
5.その他
火力発電所や燃料貯蔵基地などの危険場所がある工場、事業所でも使用されます。
防爆カメラの原理
防爆カメラの動作原理は一般的なカメラと同様です。ただし、以下のような仕様によって、防爆性能を付加しています。
1. 筐体・ケース
防爆カメラは外部の爆発性雰囲気から内部の電子部品を保護するために、特殊な筐体やケースに入れられていることが多いです。これにより、カメラ内部の電子回路から発生する火花を外部環境と隔絶し、爆発のリスクを軽減します。また、これらの筐体・ケースは耐久性や耐水性を向上させる役割も果たします。
2. 電圧制限
防爆カメラ内部に使用される電圧は、規格に定められた電圧以下に制限されていることが多いです。一般的には24V以下に制限することで、火花などの発生を防止します。本質安全防爆などの規格では、1.2V以下に制限されている場合もあります。
3. 圧力制御
カメラ筐体の内圧を陽圧に保つことで、防爆仕様を付与する場合もあります。内圧が陽圧となることで、外部の爆発雰囲気がカメラ内部へ侵入することを防止する仕組みです。陽圧が検知出来ない場合は、電源を遮断するなどの防護措置が施されます。
4. その他の設計
防爆カメラの電気回路や部材には、爆発性のある環境での安全性を確保するために特別な設計がなされています。一例としては、スパークや放電を抑制するための素材を使用するなどの処置です。これにより、防爆仕様を付与します。
防爆カメラの選び方
防爆カメラを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。
1. 防爆箇所
防爆カメラを使用する環境の爆発性のレベルや区分に応じて、適切な防爆規格や区分があります。国内ではZone0~Zone2などの分類を使用されることが多いです。規格としては、海外ではATEX規格やIECEx規格などが一般的です。
2. 電源
防爆カメラにはAC電源やDC電源など、さまざまな電源タイプがあります。使用する環境に応じて適切な電源タイプを選択する必要があります。一般的にはDC12Vや24Vなどを使用されることが多いです。
3. 信号種類
防爆カメラの映像信号を選定することも重要です。CVBSやSDI、IP、VGAなどがあります。受信機器が受信可能な信号を発信するカメラを選ぶ必要があります。
4. 使いやすさと機能
防爆カメラを選ぶ際、下記のような操作のしやすさや、機能について考慮することも重要です。
- 誰が撮影しても同じ品質の画像が得られる“フォーカスフリー”機能
- 人間の目(50~80°)に近い視野対象物との距離感に違和感がない“広角レンズ”
- 気になる箇所を画面上でタップするだけで、温度分布を最適化して自動表示“ワンタッチレベルスパン”
本記事は防爆カメラを製造・販売するフリアーシステムズジャパン株式会社様に監修を頂きました。
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