業務用エコキュート

業務用エコキュートとは

エコキュートとは、自然冷媒であるCO2を利用したヒートポンプ式電気給湯機です。

CO2冷媒はフロン系の冷媒(R410A)と比べると地球温暖化係数は約1/2000、オゾン層破壊係数はゼロと、環境性の高い冷媒です。また、エコキュートは、他の熱源に比べ約1/3〜1/4の電気エネルギーでお湯を沸かすことが可能です。これによりランニングコストの削減だけでなく、CO2排出量の削減、地球温暖化防止に貢献することができる給湯機です。

業務用としては特に「2050年カーボンニュートラル」に向けて、L2-Tech(先導的低炭素技術)や、ヒートポンプ機器を活用する機運が高まり、給湯分野においてエコキュートを導入することが奨められています。

また、業務用の場合は家庭用と異なり、飲食店における洗い物や、宿泊施設における大浴場、または工場などにおける産業用まで用途が多岐に渡ることと、給湯量が家庭用と比べて大きくなり、利用頻度も高いため、その給湯量に見合うだけの加熱能力を持つ熱源機と貯湯タンクが必要です。必要に応じたラインナップが様々なメーカーで開発されています。

業務用エコキュートの使用用途

業務用エコキュートは様々な場面で使用されます。以下は主な使用用途の一例です。

1. 商業施設

ホテルでは客室や共用施設で給湯が必要です。また、レストランでは厨房や食器洗い場での給湯が欠かせません。業務用エコキュートによって大規模な給湯需要を確保し、同時に省エネルギーを実現することが可能です。

2. 公共施設

病院においては、患者用の浴室や、清潔保持のための洗浄などで給湯が必要です。また、学校では給食用の厨房や体育施設などで給湯が必要な場合があります。業務用エコキュートは、病院や学校などの公共施設での給湯ニーズを確保し、衛生管理に貢献します。

3. 製造業

工場では、製造プロセスにおいてお湯を使用する場面があります。一例としては、製品の洗浄や清掃、機械の冷却などにお湯が必要です。業務用エコキュートを使用することで、これらの作業に必要な大量のお湯を安定して供給することができます。

また、工場内の作業員用施設や休憩室などで、給湯を必要とする場面も多いです。業務用エコキュートを使用することで、作業員のニーズに応じて給湯することで快適な労働環境を確保します。

業務用エコキュートの原理

業務用エコキュートは環境に配慮した給湯システムです。地球温暖化係数の低いCO2冷媒を圧縮・膨張させるサイクルによってお湯を加熱する仕組みです。

最初に外気や廃熱などの熱源から熱を吸収し、冷媒が蒸発器内で蒸発します。このプロセスにより、冷媒は気体に変化して熱源から熱を吸収します。その後、冷媒蒸気は圧縮機によって圧縮されて温度と圧力が上昇し、高温のガス状になります。

圧縮された冷媒は高温の状態で熱交換器に送られます。熱交換器では冷媒が給水や給湯タンクからの冷水と接触して冷却されます。このプロセスによって冷媒は凝固し、熱を放出して温度を下げる仕組みです。

冷媒通過した部分は熱を持つため、給水やタンク内のお湯が加熱されます。これにより、給湯タンクの温度を一定以上に保つことが可能です。熱交換器を通過した後、冷却された冷媒は膨張弁を通じて圧力を下げ、再び蒸発器に戻ります。

業務用エコキュートの選び方

業務用エコキュートを選定する際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 定格加熱能力

定格加熱能力はエコキュートが水を温める能力を示す指標です。一般的にはkWなどの単位が使用されます。必要とする最大給湯量などに合わせて選定することが重要です。

例えば、業務用施設などにおいて大量のお湯が必要とされる場合は、定格加熱能力が高い機器を選定します。加熱能力が低いと給湯が追いつかない可能性があるため、使用量を考慮して適切な加熱能力を選びます。

2. 最高使用圧力

最高使用圧力はエコキュートが耐えられる最大の水圧を示す指標です。業務用施設では複雑な配管構造を有する場合があり、高い水圧で運用することも多いです。最高使用圧力が高いほど、施設の多様な給湯ニーズに対応しやすくなります。

3. 電圧

エコキュートの電圧は使用する電源との互換性を確認する必要があります。一般的な業務用エコキュートは、単相または三相200Vを使用することが多いです。施設の電気配線や利用可能な電力容量に合わせて、適切な電圧のエコキュートを選択します。

4. 給湯可能温度

エコキュートが供給できるお湯の温度範囲も重要な要素です。業務用施設では、洗浄や調理などの様々な用途に応じて異なる温度のお湯が必要とされます。給湯可能温度が広いほど、施設内の様々な給湯ニーズに柔軟に対応できます。

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