監修:株式会社ケイエステック
希釈装置とは
希釈装置とは、対象物の濃度を調整したり、試料を希釈したりするために用いられる装置です。
化学や生物学の実験や分析において使用されます。電子制御を用いて液体の取り扱いを自動化し、高い精度で希釈を行うことが可能です。したがって、人手による希釈よりも誤差が少なく、正確な濃度にすることができます。
また、多くのサンプルに対して迅速に希釈を行える点も特徴の一つです。これにより、作業効率が向上し、時間と労力を節約できます。人為的な誤差や変動も最小限に抑えることが可能です。
希釈装置の使用用途
希釈装置は様々な分野で幅広い使用用途があります。以下はその一例です。
1. 医療
希釈装置は臨床検査研究室で広く使用されており、血液や尿などの生体試料を希釈し、特定の生化学的パラメータを測定するために利用されます。一例としては、糖尿病患者の血糖濃度測定や、感染症の診断に使用されます。また、DNAやRNAなどのバイオ試料を希釈し、解析のために適切な濃度へ調整するために希釈装置が用いられることも多いです。
2. 化学研究
化学研究においては、反応制御のために試薬の濃度を正確に調整する必要があります。また、検量線の作成や試料の濃度測定のために、サンプルの希釈が必要な場合もあります。希釈装置は特定の濃度を簡単に作製でき、実験の正確性を保証するために重要な装置です。
3. 環境測定
市民の健康と環境保護のために、工場や官庁などで水質の監視が行われています。希釈装置は水中の有害物質の濃度を測定するために使用され、水質試料の希釈を行うために用いることが多いです。また、土壌サンプルの希釈にも使用され、これによって土壌の品質や汚染度を評価することが可能です。
4. 食品業界
たんぱく質やビタミン・ミネラルなどの栄養成分を測定するために、食品試料の希釈を実施することが多いです。これらのデータは栄養ラベル情報として製品に添付したり、食品品質評価に使用されます。
5. 金属加工
金属加工の際、切削や研削などのプロセス中に熱が発生し、金属と工具の摩擦によって生じる摩擦熱が問題になります。水溶性油剤によってこの摩擦熱を吸収し、工具や加工対象の金属を冷却しつつ接触面を潤滑することが多いです。希釈装置によって切削液を正確な希釈率に維持することで、加工品の品質や表面仕上げの一貫性を確保します。
希釈装置の原理
希釈装置は特定の液体サンプルを所望の濃度に希釈するプロセスを自動化する装置です。通常はピペットなどの器具を使用して液体サンプルを吸い上げてサンプリングします。連続希釈の場合は、予め原液の濃度を調整しておき、インラインで希釈することも多いです。
希釈装置は希釈液を供給するための溶液タンクを有することがあります。この溶液タンクから希釈液が取り出され、サンプルの混合用容器に供給されます。
高精度な濃度調整ができる製品は電子制御によって操作されることが多く、特定の希釈比や濃度を設定可能です。プログラムされた手順に従って、正確なサンプル体積と希釈液体積を混合容器に送ります。希釈液とサンプルは振盪や撹拌などの方法で混合され、均一な希釈溶液が生成される仕組みです。
また金属加工で使用される希釈装置は電気やエアーを使用せず、水流によるベンチュリによって負圧を発生させ、水溶性原液を吸い上げて水と混合させ希釈液を生成します。現場作業者の負担を軽減し、安定した濃度管理を行うことができます。
希釈装置の選び方
希釈装置を選ぶ際は、以下のような選定要素を考慮することが重要です。
1. 希釈対象
希釈対象の清浄を確認することが重要です。液体試料を希釈する場合は、液体の腐食性や化学性情などに十分注意する必要があります。気体希釈の場合は、ガス調整器や気体混合器を使用することが多いです。
2. 希釈精度
希釈装置の精度は重要な要因であり、特に微量サンプルや精緻な実験には高精度装置が必要です。希釈装置の精度はサンプル吸引の正確さや希釈比の一貫性に依存しています。高精度な装置は誤差を最小限に抑えることが可能です。
3. 供給流量
希釈液の供給流量が低い装置は、微量サンプルの希釈や高濃度サンプルの希釈に適しています。分析において慎重な希釈が必要な場合に有用です。大規模な製造プロセスにおいて高流量が必要な場合、高流量希釈装置が適しています。
4. サンプル容量
希釈対象のサンプル容量に合わせて適切な装置を選びます。小さな容量のサンプルに対してはサンプル容量は小さい製品が適しており、大容量のサンプルに対しては対応できるタンクを有する製品が必要です。
本記事は希釈装置を製造・販売する株式会社ケイエステック様に監修を頂きました。
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