グアヤコールスルホン酸カリウム

グアヤコールスルホン酸カリウムとは

グアヤコールスルホン酸カリウム (Potassium guaiacolsulfonate / 日本薬局方一般名) とは、去痰作用を持つ化合物の1種です。

4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゼンスルホン酸カリウム (Potassium 4-hydroxy-3-methoxy benzene sulfonate / IUPAC命名法) 、Sulfoguaiacolとも呼ばれています。CAS番号は16241-25-1,1321-14-8,78247-49-1と複数の番号で表されることがあるようです。

ただし、1321-14-8は位置異性体を許容するようで、現行の日本薬局方では16241-25-1に改められています。組成式はC7H7KO5Sですが、市販品には1/2水和物であることを明示しているものもあります (C7H7KO5S · 0.5H2O) 。

グアヤコールスルホン酸カリウムの使用用途

グアヤコールスルホン酸カリウムは、主に一般用医薬品の成分として使用されます。気道分泌を促進し、痰の粘稠度を低下減少させることによって、痰を出しやすくする作用を持っており、弱い消毒作用も有します。

そのため、総合感冒薬や鎮咳・去痰薬の成分の1つになっていることが多いです。いわゆる「のどに絡む痰」を出しやすくする成分です。日本薬局方にも収載されています。

グアヤコールスルホン酸カリウムの性質

通常では、白色の結晶粉末状態で存在しています。水には溶けやすいものの、メタノールにやや溶けにくく、エタノールやエーテルには溶けにくいです。

水溶液は弱酸性を示します。5w/v%溶液でpH4.0~5.5です。融点は231~232℃であり、化学的に安定な化合物ですが、粉末は吸湿性を有します。また、光によって変質するおそれがあるため、保管には遮光が必要です。

グアヤコールスルホン酸カリウムの選び方

グアヤコールスルホン酸カリウムには、位置異性体があります。すなわち、本項で扱っている去痰剤のグアヤコールスルホン酸カリウム (4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゼンスルホン酸カリウム) は、ベンゼン環の3つの炭素のうち、1位がスルホン酸基 (カリウム塩) 、3位がメトキシル基、4位がフェノール性水酸基で置換されています。

しかし、「グアヤコールスルホン酸カリウム」「Potassium guaiacolsulfonate」「Sulfogaiacol」という呼び名だけでは、どの位置異性体を指しているのか (グアヤコールのどこがスルホン酸になっているのか) 明確ではない状態です。

そのため、購入しようとしているものが4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゼンスルホン酸カリウムであるのか、よく確認する必要があります。流通量は多くありませんが、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンゼンスルホン酸カリウムも販売されています。

ただし、表記が「グアヤコールスルホン酸カリウム (日本薬局方) 」であれば、日本薬局方収載品は4-ヒドロキシ-3-メトキシベンゼンスルホン酸カリウムだけであるので、異性体が特定されている状態です。

グアヤコールスルホン酸カリウムのその他情報

1. グアヤコールスルホン酸カリウムの製造法

1881年にグアヤコールからスルホン酸カリウム誘導体が合成されることで作られました。その後も、グアヤコールスルホン酸カリウムの製造法は化学合成です。一般には、グアヤコールのスルホン化によりグアヤコールスルホン酸を獲得し、それをカリウム塩にすることで合成されます。

グアヤコールは、ユソウボク (Guaiacum officinale) から得られるグアヤク樹脂 (Gum guaicumまたはguaiac resin ) から1826年に初めて単離された物質です。古くはグアヤコールも去痰剤として使われていました。

2. グアヤコールスルホン酸カリウムの適用法令

強い毒性・危険性は知られておらず、危険有害性区分は急性毒性 (経口・吸入) がカテゴリー4、皮膚刺激性・眼刺激性がカテゴリー2です。消防法や労働安全衛生法といった国内法規には非該当となっています。

ただし、化学物質の一般的な留意点として、防塵マスクと保護手袋を着用し、局所排気装置がある環境で取り扱う必要があります。また、強酸化剤との混在も避けましょう。

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