線材

線材とは

線材

線材とは、コイル状に巻かれている線状の金属材料です。

熱間圧延ままの熱間圧延材 (英: As Rollled) と熱間圧延材をさらに伸線した鋼線 (英: Wire) があります。材質は軟質線材、ハイカーボン線材、ピアノ線、溶接棒心線、冷間鍛造用線材、ステンレス線材などに分類されます。

熱間圧延機を複数台使用した圧延によって、鋼片から5~20ミリメートルまでの細径へ加工されます。さらに細くする場合に行うのが、伸線加工です。伸線の前加工として焼鈍 (熱処理) 、酸洗 (スケール除去と潤滑皮膜塗布) が実施される場合が多いです。

線材の使用用途

1. 普通鋼線材

主に針金や釘および金網、ねじ類などの強度をあまり必要としない製品の素材となります。また、魚礁の石の固定、堤防のテトラポットの固定、崖斜面の岩石固定用途のワイヤネット用素材としても有用です。

2. 特殊線材

高い靭性や耐久性などを要求される鋼索線用途、鋼撚り線用途、線ばね素材、スティールコードと呼ばれるタイヤ芯素材などに使用されます。その他、溶接の被覆アーク溶接棒や心線用途、建築の構造用部材と使用されるポールやパイルの芯金材 (主筋・補助筋) としても有用です。

線材の特徴

線材の特徴は、導電性、引張強度、柔軟性、耐食性、温度耐性、電磁遮蔽性、可塑性などをもつことです。これらの特徴は、電気信号の伝達や機械的な要件、環境条件に対する適応性を示しています。

例えば、銅やアルミニウムなどの導電性の高い素材は電気ケーブルや機器の電力供給に適しています。その一方で、耐食性が重視される場合にはステンレス鋼が使用され、柔軟性が求められる場合には柔軟性のある材料が使用されます。

線材の種類

線材は様々な工業分野で広く活用され、その特性によって異なる種類が存在します。

1. 軟鋼線

軟鋼線は、鉄と一定の割合の炭素から成る鋼鉄の一種です。柔軟性と強度のバランスが良いため、様々な用途に適しています。軟鋼線の製造プロセスは、熱間圧延された圧延材を冷却後伸線機で伸線加工を行うことで作られます。

軟鋼線はその柔軟性から、金鋼やばねとして広く利用されています。建築機械製造においても重要な素材であり、その扱いやすさと加工しやすさから、様々な形状やサイズに加工されています。強度の点では硬鋼に劣りますが、その柔軟性が要求される場面では欠かせない素材です。

さらに、ボルト・ナットや釘などの素材にもなります。ボルトも自動車用途、機械用途だけでなく、ビルの基礎用アンカーボルトなどにも有用です。

2. 硬鋼線

硬鋼線は軟鋼線よりも高い炭素含有量を有する鋼鉄の一種です。その特異な性質から様々な産業分野で広く利用されています。硬鋼線の製造プロセスは、まず炭化鉄Fe3C (セメンタイト) 金属組織にパテンティング処理を実施することで、微細なミクロン間隔のパーライト組織にします。その後、伸線することにより、パーライトの間隔をさらに狭め、強度を高くします。

0.65~0.95%の炭素を含む硬鋼線は結晶構造や炭素の配置によって硬度が向上しているため、特殊な環境下や高負荷下での使用に耐えることが可能です。この硬鋼線はハイカーボン材と呼ばれ、コンクリート構造物の芯金、長大橋の吊ロープ、タイヤのゴムに内装されるスチールコードなどになります。

3. 鉄以外の線材

鉄以外の素材で作られた線材には、様々な特性を持つものがあります。主なものとしては、銅覆鋼線、電気用銅線、燐青銅線が挙げられます。

銅覆鋼線
銅覆鋼線 (CP線) は銅で覆われた鋼線です。この構造は銅の高い導電性と強度を組み合わせたものです。電気配線等、高い電気電導性が求められるところで利用されます。また、柔軟性もあり、取り回しやすいのが特徴です。

電気用銅線
電気用銅線 (FR線) は高純度の銅から作られ、非常に高い導電性をとともに、柔軟性も持ち合わせています。銅覆鋼線 (CP線) と同様に、高い電気電導性が求められるところで利用されます。

燐青銅線
燐青銅線 (PBW) は銅とリンの合金で作られた鋼線です。耐食性に優れており、湿気の多い環境や腐食の影響を受けやすい場所で使用されます。形状は丸線、角線、平角線、ローレットワイヤーがあります。

メッキ処理を施して使用する場合、めっき層は錫および融点の異なる色々な半田組成のものがあり、使用条件、用途により選択します。

線材の選び方

線材を選ぶ際には、用途や要件に応じて様々な要因を考慮する必要があります。以下は、線材を選ぶ際の主要なポイントです。

1. 導電性と電気抵抗

導電性が必要な場合は、高導電性の素材を選びます。例えば、CP線やFR線などです。電気抵抗が低いほど、電流がスムーズに流れ、効率が向上します。

2. 強度と硬度

構造物や機械部品などで強度が求められる場合は、硬鋼や強靭な合金を選びます。これにより、材料が耐久性を持ち、負荷に強くなります。

3. 柔軟性と可撓性

線材が曲げやすく、柔軟性が求められる場合は、軟鋼や特殊な合金を選ぶと良いです。特に、ケーブルやばねとして使用される場合に重要な要素です。

4. 耐食性と環境への適応性

線材が湿気や腐食の影響を受ける可能性がある場合は、耐食性が高い素材(例: ステンレス鋼、燐青銅)を選ぶと良いです。

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