クリーン袋

監修:大日本印刷株式会社

クリーン袋とは

クリーン袋とは、高い清潔度を確保するためにクリーンルームなどで製造されるポリ袋です。

クリーンポリ袋やクリーンバッグとも呼ばれ、異物の付着が少ないため医療、食品、電子業界など清潔性が要求される分野における部品や製品の包装やクリーンルームでのクリーン梱包に欠かせない製品です。

原材料への配慮により、外部からの汚染予防はもちろん、アウトガス (プラスチックや接着剤等、製品を構成する有機材料や梱包材から放出されるガス成分) や包装材の添加物による汚染を防ぐことができます。

クリーン袋の使用用途

クリーン袋は、高い清潔性が求められる医療分野、食品分野、電子・精密機器分野などにおいて、主に用いられています。

1. 医療

医療分野においては、クリーン袋は主に医薬品 (やその原料)、及び医療器具の包装に用いられています。異物・不純物の混入や付着防止を目的として用いられます。具体的な使用例は下記の通りです。

  • 原料への不純物混入対策
  • 医薬品製造工程内の輸送用包装
  • 医薬品原薬・中間体の出荷包装
  • 製剤 (カプセル・錠剤・粉体) の保管や出荷用包装
  • 医療器具の出荷用包装 (シリンジ・チューブなど)

2. 食品

食品分野では、食品一般の包装・パッケージや、食品添加物の出荷包装などに用いられています。

3. 電子・精密機器

精密機器や半導体装置は、梱包材からのガス放出(アウトガス)や添加物による汚染により歩留まり率が低下する可能性があります。電子・精密機器分野では、これらの汚染を防ぎ、部材を清浄に保つ必要があります。具体的な使用例は以下の通りです。

  • 液晶・精密機器部材の梱包
  • 半導体装置及び半導体装置部品包装
  • 基板包装 (シリコン・ガラスウェハーなど)
  • HDD部品包装
  • 高機能性樹脂包装
  • 輸送用機器(チップトレイ・キャリアケース・ワイパーなど)や部品の精密洗浄後包装

クリーン袋の原理

1. 製造工程

クリーン袋は、基本的に清浄度が管理されたクリーンルーム内で製造されています。クリーンルームの清浄度は厳密に管理され、ISO規格で定められています。クリーン袋は通常ISO class6もしくはclass7程度の清浄度のクリーンルームで製造されており、これは食品工場・医薬品工場・半導体工場などと同じ程度の清浄度です。

また、落下菌検査や浮遊菌検査、製品に付着している微生物検査なども定期的に行われています。作業員は防塵性能に優れた専用の作業服を身につけることになっています (クリーンルーム用ウェア) 。

2. 成分 (添加剤)

通常の低密度ポリエチレン製ポリ袋には、製造プロセスを改善するための添加剤が含まれており、これらの添加剤(酸化防止剤のBHT、脂肪酸系滑剤、シリカ系アンチブロッキング剤など)は、袋の内外面で凝集し粉化することがあります。この現象は「ブリードアウト」と呼ばれ、袋の中の製品に添加剤が付着したり混入するリスクがあります。

クリーン袋はこうした添加剤を使用せずに製造され、ブリードアウトによる汚染を防ぐことができます。また、一般的な梱包材から放出されるアウトガスに対しても配慮して作られているため、アウトガスによる汚染予防にも効果的です。

クリーン袋の種類

クリーン袋の外形には、厚みや幅、長さなど外形に様々な種類があります。また、フィルム構造も、単層フィルムから5層フィルムまで様々なものがあり、用途に合わせて選択することができます。色は、透明、半透明白、透明ブルーなどです。

特に、クリーン環境下 (クリーンルーム内) へ電子部品・半導体関連部品などを搬入する際は、 2重包装する必要があります。2重包装は製品投入・脱気・シールの工程を2度繰り返して中の製品を密閉することですが、製品によっては1重目2重目の袋の役割を一体化することで包装および開封の手間を簡略化したものもあります。

また、帯電防止や真空包装対応などの機能を持たせたものもあり、帯電防止袋は特に粉末や精密機器の包装に適しています。一般的な清浄度の規格には米国食品医薬局のDrug Master Fileの規定や、日本薬局方などの規定があります。用途によっては、これらの規定を満たす製品を選択することが必要です。

クリーン袋のその他情報

ここではクリーン袋を使用するクリーン梱包について概要を記載します。

1. クリーン梱包について

クリーン梱包とは、製品を異物や汚染から守り、高度な清浄度を要求される環境下で使用する製品を安全に輸送するために、特別な手順と材料を用いて梱包する手法です。サービスを提供する専門の業者もいます。

2. なぜクリーン梱包が必要なのか?

製品の品質維持: 半導体部品や医療機器など、微細な異物混入が製品の性能や機能に直接影響を与える製品において、クリーン梱包は製品の品質を維持するために不可欠です。

環境汚染防止: クリーンルーム内の環境を維持するため、外部からの異物混入を防ぐ必要があります。
静電気防止: 電子部品など、静電気によるダメージを受けやすい製品を保護します。

3. クリーン梱包の主な特徴

清浄度の高い環境下での作業: クリーンルームやクリーンベンチ内で行われます。

特殊な梱包材の使用: 静電気防止袋、無塵紙、クリーンルーム対応のテープなど、清浄度の高い梱包材が使用されます。
厳格な手順: 梱包作業者は、クリーンルームへの入室手順や梱包手順を厳守します。
複数回の梱包: 外気との接触を防ぐため、二重梱包や三重梱包を行う場合もあります。

参考文献
https://www.po-aso.co.jp/publics/index/79/
https://www.aicello.co.jp/product/hyper-clean/

本記事はクリーン袋を製造・販売する大日本印刷株式会社様に監修を頂きました。

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