防錆スプレーとは
防錆スプレーとは、その名の通り錆を防ぐスプレーのことです。
自動車やバイク、自転車などに使われる金属部品に多く使用されます。ノズルが設けられているため、部品の所望の箇所のみにピンポイントで吹き付けができるため、誰でも簡単に扱えるのが特徴です。
高温環境や腐食性環境など、大掛かりな塗装工事が困難な場所でも防錆スプレーであれば防錆処理を施すことができます。価格は比較的安価で、一般の方でもホームセンターや通販などで簡単に手に入れることが可能です。
防錆スプレーの使用用途
防錆スプレーは、機械部品が工業生産されるときに使われるというよりは、メンテナンスなどでの錆の除去や防止を目的として使用されます。工業生産時には防錆塗工を施すことがありますが、防錆スプレーで形成される塗膜は比較的薄く、処理面積も所定の箇所のみに限られているところが異なります。
1. 工業用部品
防錆スプレーが1番良く使われている分野として、工作用機械が挙げられます。工作機械の内部には金型や治具など、頻繁に稼働するパーツが含まれています。
これらの表面に錆が発生すると動きが悪くなり、動作に不具合が生じる恐れがあるため、メンテナンス時に防錆処理が必要です。具体例を挙げると、精密機械の場合には処理面積が非常に小さいこともあり、ピンポイントで処理可能な防錆スプレーが用いられています。
2. 自動車部品
私たちが日常的に乗っている自動車部品の防錆処理にも防錆スプレーが活躍しています。自動車は屋外環境下で雨や湿気にさらされることが多いため、錆が発生するリスクを抱えています。
定期メンテナンスの際には、防錆の処理がなされています。自動車の中で具体的に処理が必要な箇所として、ボンネットやバンパー内部、ドア、トランクルームなどが挙げられます。
防錆スプレーの原理
防錆スプレーの原理を理解するためには、まず金属がどのように錆びてしまうのか理解する必要があります。金を除く金属はそれ単体として自然界に存在することはほとんどなく、例えば鉄は磁鉄鋼や褐鉄鋼の状態で採掘されます。
その後、人間が産み出した技術により精錬され金属単体となり、加工することで自動車などの金属部品に生まれ変わります。ただし、加工した切断や切削した金属の表面は酸素や水と反応しやすくなっており、錆びやすい状態です。錆が発生すると外観が悪くなるだけでなく、強度や性能が低下してしまいます。
その錆びを防ぐ防錆スプレーには2つの成分があります。1つは防錆剤で、金属の表面に薄い膜を形成し、酸素や水分から遮断する効果があります。この薄い膜は不動態皮膜とも呼ばれ、酸化物ではありますが厚さが数ナノメートルと薄いため、透明で金属表面の光沢を維持することが可能です。
もう1つは鉱物油で、金属の細かい隙間まで防錆成分を浸透させる効果があります。また、既に表面にある細かい錆を浮かせることも可能で、ウエスなどで拭き取れば錆を落とすことができます。これらの作用により防錆スプレーは細かいところまで、かつ少しくらいの錆であれば浸透して錆を落とすと共に、防錆剤の作用により表面を強固にガードして錆を防止します。
防錆スプレーの種類
海に近く塩害の恐れがある地域や腐食ガスが存在する環境では、汎用の防錆スプレーを使用しても錆びるおそれがあります。そのような所では、海水用や腐食ガス環境用に成分が調合された防錆スプレーが適しています。
状況に応じ、適切な防錆スプレーを適切に使用することで、長期間防錆能力を維持できるようになります。
参考文献
https://www.kure.com/product/k1426/
https://www.respo.net/spray/930.html