止水剤とは
止水剤とは、土木・建築分野において、コンクリート構造体のひび割れや打ち継ぎなどから水の漏れている箇所を、瞬時に固結する建材のことです。
止水剤には、様々な種類のものが製造されており、セメントやアスファルト、ポリウレタン・ポリオレフィン等の合成樹脂などといった種類が挙げられます。いずれの種類の止水剤も、短時間で硬化できるといった性質があり、水漏れなどのトラブルに迅速に対応できることが特徴です。
止水剤には、有機溶媒を含まない水性タイプのものや、鉄筋・鉄骨等の腐食を防ぐアルカリ性タイプのものなど、成分も様々なタイプのものが作られています。
止水剤の使用用途
止水剤は、地下室、上下水道。貯水池、プール、水力発電所ダム通水管、トンネル、地下道など、コンクリート構造体の漏水箇所を止水するために、幅広く用いられている点が特徴です。
止水剤は、他にも、電線管路口、配管廻りやダクト廻りの隙間、ハンドホール内や地下ピット内、スリーブ廻りの隙間、ベルマウス廻りの水漏れ対策や、電気BOX内の封止・結露対策にも利用されています。
さらに、止水剤は、防波堤護岸やその他諸工事の際に、湧水箇所の止水を目的として利用され、また、コンクリートやモルタルの欠損箇所を補修する際や、アンカーボルトや鉄筋を固定する場合、石材・タイル・ブロック等を仮固定する際などにも、幅広く用いられています。
止水剤の原理
止水剤が水漏れを防ぐ仕組みは、化学反応による固結と物理的な充填効果の2種類の工程によって成り立っています。こうした原理をもとに、止水剤は単に水の流れを止めるだけでなく、施工箇所の強度を向上させる役割も果たします。
1. 化学反応による固結
止水剤には、コンクリートやモルタルの中に含まれる水分や漏水と接触すると、瞬時に反応して硬化する成分が含まれています。例えば、親水性ポリウレタンを主成分とする止水剤は、水に触れることで弾力性に富むポリマーゲルを形成し、漏水箇所をしっかりと封止します。このゲルは伸縮性と耐久性があり、ひび割れが拡大しても効果を持続させることが可能です。
2. 物理的な充填効果
止水剤は、クラックや隙間に注入されることで、物理的に空隙を埋めて水の流れを遮断します。こうした工程は急結性セメントや合成樹脂系の材料で効果的に実現され、特に漏水が多い箇所でも即座に浸水を防ぐことが可能です。