過酸化ナトリウム

過酸化ナトリウムとは

過酸化ナトリウムとは、ナトリウムの過酸化物で、組成式Na2O2で表される無機化合物です。

CAS登録番号は1313-60-6であり、別名では過酸化ソーダとも呼ばれます。過酸化ナトリウムは、無水物の他、八水和物Na2O2・8H2Oをはじめとして、二水和物Na2O2·2H2Oや、Na2O2·2H2O、Na2O2·2H2O2·4H2Oなど、水和物や過酸化物水和物の状態で存在しています。

過酸化ナトリウムの使用用途

過酸化ナトリウムは抗菌性・漂白作用・脱臭作用などを持つ物質です。そのため、衣服や配管など様々な製品に対して漂白剤や洗剤として用いられています。動植物繊維、羽毛、骨、象牙、ワックスなどの漂白にも使用可能です。

産業用途としては、分析用試薬、過酸化物、過ホウ酸塩などの有機過酸化物製造にも用いられています。二酸化炭素吸収剤として潜水艦などの空気浄化にも用いられる物質です。

また、過酸化ナトリウムは酸素系漂白剤として知られており、衣料用洗剤としてだけではなく洗濯槽の掃除にも用いられることが多いです。安全性が高く、漂白剤特有の臭いがしないなどの特徴を持つため、一般家庭でも広く用いられています。

過酸化ナトリウムを主成分とした漂白剤は、粉末状で販売されていることが多いです。衣料用漂白剤として用いる場合は、洗濯機に少量の過酸化ナトリウムを入れて洗濯することで簡単に漂白効果・脱臭効果を得ることができます。

過酸化ナトリウムの性質

過酸化ナトリウムの基本情報

図1. 過酸化ナトリウムの基本情報

過酸化ナトリウムの無水物は、式量77.98、融点460℃、沸点675℃であり、常温常圧では淡黄色の粉末状結晶です。なお、八水和物は無色の結晶状固体です。

水に溶けやすく、その時酸素を発生して発熱します。また、エタノールやその他の可燃性物質に触れると発火します。密度は2.80g/mLです。

過酸化ナトリウムの種類

過酸化ナトリウムは、主に研究開発用試薬製品や、産業用無機薬品として販売されています。研究開発用試薬製品としては、10g、25g、100g、500gなどの容量の種類があります。

吸湿性があり、酸化性が強いため、取り扱いや保管には注意が必要です。通常室温で保管可能な試薬製品として取り扱われています。なお、産業用としてはドラムなどの荷姿で販売されています。

過酸化ナトリウムのその他情報

1. 過酸化ナトリウムの合成

過酸化ナトリウムの合成

図2. 過酸化ナトリウムの合成

金属ナトリウムを乾燥空気中で130℃から200℃の高温で加熱することにより、酸化ナトリウムを経由して過酸化ナトリウムの無水物を得ることができます。また、過酸化ナトリウムの八水和物は、過酸化水素と水酸化ナトリウム水溶液を混合することによって合成が可能です。

2. 過酸化ナトリウムの化学反応

過酸化ナトリウムの化学反応

図3. 過酸化ナトリウムの化学反応

過酸化ナトリウムは、水と激しく反応して水酸化ナトリウムと過酸化水素に分解します。また、沸点である657℃を超えて加熱すると酸素を放出して、酸化ナトリウムへ変化します。過酸化ナトリウムは強い酸化剤です。二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウムと酸素を生成し、一酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムを生じます。

保管においては、湿気により発熱、発火することがあります。水と激しく反応し、有毒ガスを発生するため、水、湿気のある空気、火気を避けて保管することが必要です。また、 可燃物、有機物、金属粉との混触により発火又は爆発する恐れがあるため、こうしたものとの混触も避けるべきとされます。

3. 過酸化ナトリウムの法規制情報

過酸化ナトリウムは毒物及び劇物取締法で「劇物」に指定されている物質です。その他には、労働安全衛生法において「危険物・酸化性のもの」に指定されている他、消防法で「第1類酸化性固体、無機過酸化物」に指定されています。法令を遵守して正しく取り扱うことが重要です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1148.html

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