次没食子酸ビスマス

次没食子酸ビスマスとは

次没食子酸 (じもっしょくしさん) ビスマスとは、「デルマトール」とも呼ばれている次没食子酸のビスマス塩です。

分子式はC7H5BiO6、融点は223℃、常温において黄色の無味無臭の固体です。水、アルコール、クロロホルム、エーテルにほとんど不溶であり、うすい水酸化アルカリ溶液および水酸化ナトリウム水溶液に溶ける性質があります。

次没食子酸ビスマスは収れん作用により、皮膚や粘膜のタンパク質と結合して保護膜を作ります。これにより、皮膚の傷口や痔の治療における外用薬として用いられています。

また、腸の炎症をしずめる、あるいは粘膜への刺激をやわらげる作用により、腸のぜん動を抑制するため、痢止めの内服薬としても使用されている物質です。

次没食子酸ビスマスの使用用途

次没食子酸ビスマスは、経口薬および外用薬として処方されます。

1. 経口薬

経口薬としては、下痢症の治療に使用します。成人の場合、1.5〜4gを3〜4回に分割経口投与します。症状や年齢により、服用量を調節することが重要です。

また、不安感や無力感、頭痛、ふるえなど、精神神経系に影響がでる可能性があることから、長期間にわたる服用は避けなければなりません。

2. 外用薬

外用薬としては、極めて小範囲の皮膚のびらんおよび潰瘍、痔疾の治療に用います。そのまま散布剤として使用したり、軟膏またはパスタ剤として使用したりします。外用の場合は、副作用はありません。

3. 消化性潰瘍の治療

次没食子酸ビスマスは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍の治療に利用されます。この化合物は胃粘膜を保護し、潰瘍の治癒を促進する効果があるとされています。

4. 抗菌療法

次没食子酸ビスマスは、抗菌作用を持つため、細菌による感染症の治療に応用される可能性があります。特に、胃腸感染症や胃潰瘍に関連するHelicobacter pyloriなどの菌に対する効果が研究されています。

5. 抗ウィルス療法

一部の研究では、次没食子酸ビスマスが抗ウイルス作用を持つ可能性が示唆されています。特定のウイルスに対する影響を研究し、ウイルス感染症の治療への応用が検討されています。

6. 胃粘膜保護

次没食子酸ビスマスは、胃の酸によるダメージから胃粘膜を保護する効果を持つとされています。これにより、胃酸関連の問題や不快感の軽減に寄与する可能性があります。

7. 炎症性疾患の治療

抗炎症作用を持つ次没食子酸ビスマスは、炎症性疾患の治療に役立つ可能性があります。関節炎や炎症性腸疾患など、症状の軽減に対する効果が研究されています。

次没食子酸ビスマスの性質

次没食子酸 (英: ellagic acid) とビスマス (英: bismuth) の化合物です。次没食子酸ビスマスの性質は、以下に示すようなものがあります。

1. 抗酸化作用

次没食子酸自体が強力な抗酸化作用を持ち、自由ラジカルや活性酸素種から細胞を保護する能力があります。次没食子酸ビスマスも、同様の抗酸化作用を示すと考えられています。

2. 抗菌作用

次没食子酸ビスマスは抗菌作用を持ち、特定の微生物の成長を抑制する能力があります。これにより、感染症の治療や予防に応用される可能性があります。

次没食子酸ビスマスのその他情報

次没食子酸とビスマス

次没食子酸は天然に存在する有機化合物の一種であり、ポリフェノールの一員です。植物に広く分布しており、特にベリーやナッツ、柑橘類、赤ワイン、そして一部の薬草に含まれています。

次没食子酸は抗酸化作用を持ち、自由ラジカルの活性酸素種に対抗することができるため、健康に対する潜在的な利点があるとされています。また、次没食子酸に結合しているビスマスは重金属元素です。

単体では特定の条件下で毒性を持つことが知られています。次没食子酸との結合によって、ビスマスの特性が変化する可能性がありますが、その詳細な影響は研究が進行中です。

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