オクテン

オクテンとは

オクテンとは、炭素数が8の直鎖上のアルケンです。

二重結合を1つ含み、C8H16という化学式で表されます。二重結合の位置が異なる複数の異性体が存在しています。

オクテンの異性体のうち、最も広く用いられているのは1-オクテンです。1-オクテンは二重結合を末端に持っており、このようなアルケンを総称してαオレフィンと呼びます。1-オクテンは、常温常圧で無色の液体です。

1-オクテンは消防法において「危険物第四類 第一石油類 危険等」に指定されている他、労働安全衛生法において「危険物・引火性の物」に指定されています。

オクテンの使用用途

1-オクテンは、ノナナールの合成原料として用いられています。ノナナールは炭素数が9の直鎖上のアルデヒドです。ノナナールは茶や花、かんきつ類など様々な物質に含まれており、香料として食品や化粧品に添加されています。

また、有機合成原料や可塑剤、界面活性剤なども用途の1つです。直鎖状低密度ポリエチレン (LLDPE) の共重合体の原料として用いられます。オクテンの構造異性体の中でも、分岐アルケンはフェノールのアルキル化に用いられ、洗剤の原料にもなります。

オクテンの性質

1−オクテンの分子量は112.21で、CAS番号は111-66-0です。オクテンの外観は、無色透明の液体で、ガソリン臭があります。

融点-102℃、沸点・初留点及び沸騰範囲121℃、引火点8℃、自然発火温度205℃、爆発範囲は0.7-3.9vol%の引火性液体です。比重は0.7149g/cm3 (20℃ / 4℃) 、蒸気圧は17.4 mmHg (25℃) 、粘度は0.492 cP (20℃) です。

アセトンベンゼンクロロホルムに可溶で、アルコール、エーテルなどの多くの脂肪族炭化水素と混和します。また、水とも混和します。

状態は安定ですが、非常に燃えやすく、強酸化剤と接触すると、爆発性過酸化物が生成する危険性があります。その他、オクテンはゴムや塗料、被覆剤を侵すため、取扱時は液垂れや飛び散りなどによって付着しないように、十分注意が必要です。

オクテンのその他情報

1. オクテンの有害性

オクテンのGHSラベルには、炎、感嘆符、健康有害性、環境が指定されています。皮膚に付着すると、腐食性、刺激性があり、吸引すると急性毒性 (暴露後、数日以内に発症、死に至る毒性) があります。

また、少量だと眠気やめまいを引き起こす可能性が高いです。水性生物への毒性も確認されており、水性環境急性有害性、水性環境慢性有害性があります。廃棄時は、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託し、処理を行います。

2. 応急処置

吸引した場合は、新鮮な空気がある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させます。また、症状が酷い場合は、医師に連絡しましょう。連絡時は取扱い物質を伝えると、適切に対処して貰うことができます。

皮膚に付着した場合は、多量の水および石鹸で洗浄します。また、全身に暴露した場合は、直ちに衣類を全て脱ぎ、全身を流水、シャワーで洗い流すことが重要です。

眼に付着した場合は、数分間アイシャワーなどで洗い流し、必ず医師に連絡します。飲み込んだ場合は、無理に吐かせず直ちに医師に連絡します。

3. オクテンの取扱方法

オクテンを取り扱う際は、局所排気や全体排気のある換気の良い場所で取り扱うことが推奨されています。引火性があるため、熱や火花、裸火、高温のものなどの着火源から遠ざけて取い扱います。また、強酸化剤との接触を避けた保管も重要です。

流動や撹拌などによって、静電気を発生する可能性があるため、取扱時は燃焼の3要素 (可燃物、酸素供与体、着火源) が揃わないように注意する必要があります。オクテンの場合、可燃性の蒸気 (可燃物) および取扱時に静電気 (着火源) が存在するため、酸素を排除することが効果的です。

作業場所は接地しアースをとり、静電気放電の措置を行います。また、作業者は適切な保護手袋と保護眼鏡を着用し、取り扱い後はよく手を洗う必要があります。

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