アキシャルギャップモーター

アキシャルギャップモーターとは

アキシャルギャップモーターとは、回転軸に固定されていてレコードのように回転する円盤に装着された永久磁石と、それに対峙する形で向き合っているコイルとの間で引力や斥力を発生させて回転するモーターです。

永久磁石を回転子としたPM  (英: Permanent Magnet) 同期モーターで、従来から広く普及しているラジアルギャップモーターと比較して薄型になっても、トルクの落ち込みが小さいことが最大の利点です。

アキシャルギャップモーターの使用用途

アキシャルギャップモーターは、ロボット、電動アシスト自転車、ドローンや各種産業機器等のモーターとして使用されています。さらに、電動自動車のインホイール・モーターとしての活用や、電動飛行機のプロペラを回すモーターとしての研究開発が進んでいます。

従来から広く普及しているラジアルギャップモーターに比較して、厚みが小さくなってもトルクが落ちないことが最大の利点です。換言すれば、モーターはより大きなトルクを得るためには、より多くの電流を流さなければなりませんが、アキシャルギャップモーターは薄型にしても、ラジアルギャップモーターよりも少ない電流で同じトルクを得られます。

このことから、設置スペースの制限から薄型のモーターが望ましい一方で、消費電力は少なくしたい用途を中心に、アキシャルギャップモーターの活用範囲が広がっています。

アキシャルギャップモーターの原理

モーターはコイルに電流を流して発生する磁束と、永久磁石が発生する磁束とが、磁束の向きによってお互いに引き合ったり、反発しあう力を利用して、軸を回転させます。

従来から普及しているラジアルギャップモーターは、回転軸に沿う形で永久磁石が取り付けられており、その周囲を囲むように回転軸と同じ方向に巻かれたコイルが何個か円筒状に並んでいます。このコイルに電流を流すと、磁束が回転軸に対して直角方向に発生します。この磁束と回転軸に固定された磁石の磁束との間に生じる力によって、回転軸が動きます。

1. ラジアルギャップモーター

ラジアルギャップモーターの場合は、モーターの厚みを薄くすると、コイルと磁石の高さが小さくなるので、トルクが低下します。

2. アキシャルギャップモーター

アキシャルギャップモーターの場合は、回転軸に固定された円盤に磁石が同心円状に複数個配置されています。その円盤に対峙する形で置かれたドーナツ状の基板の上に薄型のコイルが同じように同心円状に複数個配置されています。コイルの巻かれた向きは、回転軸に対して垂直になっています。また、コイルが乗った基板は回転軸に対して、接触箇所はありません。

コイルに電流を流すと、回転軸と平行な方向に磁束が発生します。この磁束が円盤状の磁石と引力や斥力を生じて円盤が回転し、回転軸も回転します。

薄型にしてコイルの巻き数が少なくなれば、コイルが発生する磁束は弱くなりますが、円盤の径を大きくしたり磁石とコイルの大きさや形状、配置を工夫することで、ラジアルギャップ型モーターに比べて、さらに薄型、省エネルギー、高効率、高トルクなどを実現できるポテンシャルを秘めているとされ研究開発が進められています。

特に、モーターの厚みを外径で割ったアスペクト比が、0.75より小さくなると、アキシャルギャップモーターの方がラジアルギャップモーターに比較して高トルクを得やすいとも言われています。

アキシャルギャップモーターの選び方

商品選定の際には、想定する使用条件下でラジアルギャップモーターと比較して十分にメリットがあることを確認する必要があります。同じ出力のラジアルモーターと比較して高額なモーターで、既成のモーターの種類も未だ少なく、メーカーに専用のモーターを開発してもらう場合はさらに高額になります。

なお、アキシャルギャップモーターのメリットには次のようなものがあります。

  1. ラジアルギャップモーターに比べて、構造的により薄型のモーターを設計・製造するのに向いている。
  2. 同じ厚さのラジアルギャップモーターに比べてより高いトルクを得られる。
  3. 薄型化と高出力化を両立できるため、減速ギアなしでクルマの車輪や飛行機のプロペラを直接駆動できる。

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