硬質ウレタンフォームとは
硬質ウレタンフォームとは、建築材料として広く利用される断熱材です。
ポリウレタン樹脂を主成分とした原液を発泡して作る断熱材で、他の断熱材にはない特徴があります。例えば、施工現場では、原液を断熱材を施工したい部分にスプレーで吹き付けて、発泡して断熱材を形成できます。したがって、電灯スイッチやコンセント、筋かい取り付け部などの細かい隙間部分まで十分断熱され、気密も得ることが可能です。
その他、自己接着性で木材、金属、及びコンクリートなどに直接吹き付けて施工できることも特徴として挙げられます。物体に強く接着して、断熱層を作ることができます。硬質ウレタンフォームは、断熱性が良い固い微細な独立気泡を閉じ込めているので、断熱性能が他の断熱材に比べて優れており、薄くても断熱効果を発揮します。
硬質ウレタンフォームの使用用途
硬質ウレタンフォームは建物の断熱材として用いれられ、主に以下のような用途で利用されます。
1. 壁・屋根の断熱材
建物の壁や屋根に敷き詰められ、外部からの気温の影響を軽減し、室内の温度を快適に保ちます。
2. 床下断熱
床下に敷き詰められ、床からの冷気の侵入を防ぎ、室内の温度を安定させます。
3. 開口部の断熱材
窓枠やドア周りに施され、隙間からの熱の出入りを抑え、断熱性能を向上させます。
4. 浮き床の断熱材
フローリングの下に敷かれ、冷暖房の効率を高めるとともに、床の快適性を向上させます。
硬質ウレタンフォームの原理
硬質ウレタンフォームは、ポリオールとイソシアネートの2成分を混合し、反応させることでポリウレタン樹脂が生成すると同時に発泡が起こります。この反応の際に、水とイソシアネートが反応して炭酸ガスが発生して気泡を形成し、フォーム状の断熱材ができます。
硬質ウレタンフォームの気泡は、小さな泡が集まっているように見えますが、その小さな泡は1つ1つが独立した気泡となっている状態です。中に封じ込められている炭酸ガスは、熱伝導率がとても小さい性質を持っています。その結果、断熱材として広く使われるようになっています。
硬質ウレタンフォームの種類
硬質ウレタンフォームは施工方法の違いにより、工場で発泡を行いボード状に成形されたパネル状の硬質ウレタンフォームと、建築現場で発泡するスプレータイプの硬質ウレタンフォームの2種類が存在します。
1. パネル状硬質ウレタンフォーム
板状にカットされているため施工が容易で、壁や屋根の断熱材として広く使われます。生産工場で原液を発泡硬化させた後、切り分けてボード状にします。
2. 吹付け硬質ウレタンフォーム
液体の状態で吹き付けられるため、複雑な形状や隙間にも効果的に施工できます。吹付け硬質ウレタンフォームは、専用の吹付け装置を使って、施工現場で硬質ウレタン断熱材の原液をスプレーで吹き付け、発泡および硬化させ、硬質ウレタン断熱材を形成します。
JIS規格に定める非耐力性吹付け硬質ウレタンフォーム原液は、壁、屋根裏や床下などの断熱に使われます。また、耐力性吹付け硬質ウレタンフォーム原液は、冷凍冷蔵庫・倉庫、冷凍車や恒温室、自販機・ショーケースおよび浴槽、貯湯槽、LNG低温液化ガスの容器などの断熱用です。
硬質ウレタンフォームのその他情報
硬質ウレタンフォームの製造方法
硬質ウレタンフォームの主原料は、ポリイソシアネートとポリオールです。ポリオールにはウレタン化反応の触媒となるアミン化合物、発泡剤である水やフルオロカーボン、発生した気泡の形を整える整泡剤が混ぜられています。
ポリオールとイソシアネートを特定の配合比で混合して、ウレタン化反応が開始されます。この反応は複数の官能基を持つポリオールとイソシアネートが次々と反応する高分子量化と、気泡のもとになる炭酸ガスを発生させる反応が同時進行します。
1. パネル状硬質ウレタンフォーム
ポリオールとイソシアネートの混合物を、温調された成形金型に入れ、高分子量化、発泡反応を起こさせます。発泡反応により生じる膨張力によって、フォームが形成されます。硬化後は適切な寸法にカットされ、使用する形状に加工されます。
2. 吹付け硬質ウレタンフォーム
専用の吹付け装置を使って、硬質ウレタンフォームを施工したい部分にポリオールとイソシアネートの混合物を吹き付けます。混合後すぐに高分子量化と発泡が始まるため、2つの原料の混合は吹付け装置の送液ライン中で行われます。
吹付けた箇所からすぐに発泡と硬化が始まります。現場施工なので季節や天気による温度変化で反応速度も変わり、使用する原料もそれに応じて調整されます。