セメント瓦

セメント瓦とは

セメント瓦

セメント瓦とは、セメントで作られた屋根材の瓦 (かわら) のことです。

従来屋根瓦には陶器で作られた和瓦が使われていましたが、需要が急増し生産が追い付かなくなった時期に、安価にできる瓦としてセメント瓦が作られました。しかし現在では、セメント瓦は割れやすく重いため新規に使われることはほとんどありません。セメント瓦が使われていた家屋では、リフォーム時に他の屋根材に置換えとなる場合が多いです。

セメント瓦の使用用途

1970年代前後の高度成長期にセメント瓦は、急激な住宅需要増加で使われました。現在ではもっと安価で高耐久性の屋根材もできており、新規での使用はほとんどないと言われています。ただし多種多様なデザインのセメント瓦が精度よく作れて耐火性にも優れるため、まだ使われるケースも稀にあります。

セメント瓦には吸水性があるため、防水処理が必要で、衝撃に弱いため、定期的なメンテナンスが重要です。築40〜50年の家屋で、セメント瓦を活かしつつ維持する需要もあり、いくつかの処理方法も考えられています。

セメント瓦の種類

1. プレスセメント瓦

プレスセメント瓦は川砂とセメントを水に混ぜて成形し、圧力をかけて固めます。圧力によって密度が上昇して屋根材としての強度が増します。厚形スレート瓦とも呼ばれ、反りなどの狂いがなく施工しやすいです。日本では主に四国地方や九州地方で用いられ、加圧成型後は高耐久の塗料によって着色されます。

2. コンクリート瓦

コンクリート瓦の製造方法は他のセメント瓦とほとんど同じです。主成分はモルタルでセメントの配合が少ないです。平たい長方形の場合が多く、屋根に葺くとシャープな見た目になります。現在では需要がなく製造されていません。

3. モニエル瓦

モニエル瓦は乾式洋瓦とも呼ばれますが、現在では廃盤になったため、入手が困難です。凹凸があり、防水性を高めるため、コンクリートの基材上に着色スラリーを厚く塗布しています。高圧洗浄によってスラリー層を除去して、塗装し直す必要があります。

セメント瓦の構造

屋根全体に葺く瓦の形状には、和瓦、平面瓦、スパニッシュ瓦の3種類があります。

1. 和瓦

一般的な瓦の形状はJ型とも呼ばれ、波を打ったようなカーブを有する和瓦です。カーブの部分に空気が含まれるため保温性に優れており、適度に湿気が蒸発するため換気に優れています。夏は湿度が高く、冬の寒さが厳しい日本の気候に適しています。

2. 平面瓦

平板瓦やF型はフラットな形状の瓦です。洋風建築に使われる場合が多いです。見た目がすっきりして屋根が広く見えます。太陽光発電の蓄電池部分にもなじみ、太陽光発電システムの導入にも適しています。

3. スパニッシュ瓦

和瓦よりも大きく波打っている形状が、スパニッシュ瓦です。S型とも呼ばれ、南欧風の風合いが強く洋風家屋によく合います。和瓦と同じく波を打った部分に空気を含んでいるため、通気性や保温性が高いです。

セメント瓦の選び方

セメント瓦のメリットは耐火性に優れ、デザインが豊富な点です。セメント瓦は川砂やセメントで作られており、燃えにくく、耐火性に優れています。火事の際には住宅が燃え広がる速度を緩めます。セメント瓦には和風や洋風のデザインがあり、カラーや形状も豊富です。そのためおしゃれな屋根に仕上げるために適しています。

セメント瓦にはデメリットもあり、ヒビ割れしやすく衝撃に弱いです。セメント瓦が割れると雨漏りの原因になり、早めに補修する必要があります。台風の後にはセメント瓦が飛来物で破損していないか確認が必要です。

表面を塗装しているセメント瓦は、瓦の耐久年数に関係なく、寿命を延ばすために定期的なメンテナンスが重要です。特にセメント瓦の塗膜が剥がれたり色褪せた状態では、劣化によって雨漏りや屋根内部の腐食に繋がります。

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