レゾルシノール

レゾルシノールとは

レゾルシノール (英: Resorcinol) とは、無色の結晶性粉末です。

レゾルシノールの化学式はC6H6O2、分子量は110.11、CAS番号は108-46-3の有機化合物の一種です。ベンゼン環のメタ位に 2個のヒドロキシ基が結合した構造を持ちます。ベンゼンジオールの1種で、カテコール、ハイドロキノンの構造異性体です。

レゾルシノールは、1864年にオーストリアの化学者ハインリッヒ・フラシェビッツらによって初めて調製・分析されたことが報告されました。レゾルシノールという名称は、類縁体のオルシノール (英: Orcinol) に由来しています。本来は、ベンゼン-1,3-ジオールが、IUPACが1993年の有機化学命名法に関する勧告で推奨している名前です。

レゾルシノールの性質

レゾルシノールの融点は109~111℃、沸点は280℃、比重は1.27です。常温環境においては、無色の固体状態として存在します。

レゾルシノールは、クロロホルムや二硫化炭素には難溶ですが、アルコールやエーテルの他、水にも非常に溶けやすく、空気中に放置していても吸湿します。また、光と酸素によって酸化されて色がピンク色に変化する性質があるので、保管する際は注意が必要です。

レゾルシノールの使用用途

レゾルシノールは、主に工業用の接着剤原料として使用されます。特にタイヤ製造におけるタイヤ材料用の接着剤、木材用接着剤などの接着剤原料として使用されます。レゾルシノールを用いた接着剤は、耐水性、耐熱性、耐候性に優れた性能の良い接着剤として知られています。

その他、レゾルシノールは、レゾルシノールの持つ強い還元力から殺菌剤としても使用されます。加えて、蛍光染料の原料などの用途でも使用されます。

レゾルシノールのその他情報

1. レゾルシノールの製造法

レゾルシノールは、ベンゼンからいくつかのステップで合成できます。プロピレンをジアルキル化することで1,3-ジイソプロピルベンゼンが得られ、この二置換アレーンの酸化およびホック転位によって、アセトンおよびレゾルシノールが生成します。

   C6H6+2CH3CH=CH2→1,3-(i-Pr)2C6H4 
   1,3-(i-Pr)2C6H4+2O2→1,3-(OH)2C6H4+2CH3COCH3

工業的には、クメンの自動酸化プロセスの応用で1,3-ジイソプロピルベンゼンの酸化により過酸化物を得て、それを酸触媒存在下で分解することで、レゾルシノールを得ることができます。

2. レゾルシノールの反応

レゾルシノールを部分水素化すると、1,3-シクロヘキサンジオンとしても知られるジヒドロレゾルシノールを与えます。また、水酸化カリウムと融合すると、レゾルシノールはフロログルシノール、ピロカテコール、およびジレゾルシノールを生成可能です。

他にも、冷濃硫酸の存在下、濃硝酸でニトロ化すると、爆発物であるトリニトロレゾルシンが得られます。

3. 法規情報

レゾルシノールは、労働安全衛生法において「名称等を表示・通知すべき危険有害物」「リスクアセスメントを実施すべき危険有害物」に該当しますが、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) には指定がありません。消防法も非該当ですが、毒物及び劇物取締法では「劇物」に指定されており、使用の際には注意が必要です。

4. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密閉し、涼しく乾燥し換気の良い場所に保管する。
  • 熱・火花・火炎など着火源から遠ざける。
  • 火災及び爆発の危険があるため、強酸化剤やアンモニア、アミノ化合物との接触を避ける。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 粉塵やヒューム、蒸気、スプレーを吸入しない。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
  • 使用後は適切に手袋を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/108-46-3.html

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