メチルアミン

メチルアミンとは

メチルアミン (英: Methylamine) とは、アンモニアに似た臭気のある無色の可燃性気体です。

メチルアミンの化学式はCH3NH2、分子量は31.1、CAS番号は74-89-5で、最も基本的な第一級アミンです。メチルアミンは、1849年にフランスの化学者シャルル・アドルフ・ヴュルツにより、イソシアン酸メチルおよび関連化合物の加水分解によって最初に調製されました。

天然にはトウダイグサ科などの植物、骨油、木材乾留液中に存在している有機化合物です。また、動物や植物が腐敗分解するときにアンモニアとともに生じることがあります。

メチルアミンの性質

メチルアミンは、融点が-93℃、沸点が-6℃、自然発火温度が430℃ですが、40%水溶液の引火点は-10℃です。

水、エタノール、エーテルのいずれにもよく溶け、水に対しては20℃で108g/mLの溶解度を示します。メチルアミンは通常、塩酸との塩である塩酸メチルアンモニウムの状態で市販されています。

メチルアミンの使用用途

メチルアミンの使用用途としては、殺虫剤、薬物、界面活性剤、爆発物、着色剤、殺菌剤、添加剤などがあげられ、製造原料として、幅広く使用されています。

メチルアミンは、メタンフェタミンなどの麻薬の合成に使用される原料物質であるため、その使用法がしばしば法的な論争を引き起こしている有機化合物です。取得に関する複数の法的規制が有るにもかかわらず、世界的に強い需要があります。

メチルアミンの化学的多様性は、分子内の窒素原子が優れた求核性を有する合成試薬(求核剤)であり、さまざまな有機反応において高分子量の基質に結合させることができることに由来しています。メチルアミンから製造される代表的な商業的に重要な化学物質には、医薬品エフェドリンおよびテオフィリン、農薬カルボフランおよびカルバリル、ならびに溶媒N-メチルホルムアミドおよびN-メチルピロリドンが含まれます。

メチルアミンのその他情報

1. メチルアミンの製造法

メチルアミンは、メタノール塩化アンモニウム塩化亜鉛の存在下で加熱することで得られます。

ホルムアルデヒドを塩化アンモニウムで処理して得たメチルアミン塩酸塩に、水酸化ナトリウムなどの塩基を添加することでもメチルアミンに変換できます。商業的には、アルミノケイ酸塩触媒存在下でのメタノールアンモニアとの反応によって調製されます (CH3OH+NH3→CH3NH2+H2O)。

2. メチルアミンの反応

メチルアミンは立体障害が少なく反応が妨げられないアミンであるため、優れた求核剤として有機化学分野での使用が普及しています。

具体的な反応として、ホスゲンからメチルイソシアネート、二硫化炭素と水酸化ナトリウムからメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、クロロホルムと塩基からメチルイソシアニド、エチレンオキシドからメチルエタノールアミンを生成するものなどがあります。

3. 法規情報

メチルアミンは、労働安全衛生法において「危険物・引火性の物、可燃性のガス」「名称等を表示・通知すべき危険有害物」「リスクアセスメントを実施すべき危険有害物」に、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) において「第1種指定化学物質」に指定されています。

消防法には該当しませんが、毒物及び劇物取締法では「劇物」に指定されており、使用の際には注意が必要です。

4. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密閉し、涼しく乾燥し換気の良い場所に保管する。
  • 熱・火花・火炎など着火源から遠ざける。
  • 爆発性混合物を生成しやすいため、空気との混合を避ける。
  • 燃焼すると分解して有毒なヒュームを発生するため、燃焼させない。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • ガスを吸入した場合は空気の新鮮な場所に移し、直ちに医師に連絡する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流し、直ちに医師に連絡する。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗い続け、直ちに医師に連絡する。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/74-89-5.html

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