リン酸カリウムとは
リン酸カリウムとは、カリウムのリン酸塩の総称です。
カリウムのリン酸塩には、リン酸二水素カリウム (KH2PO4) 、リン酸水素二カリウム (K2HPO4) 、リン酸三カリウム (K3PO4) があり、これらを総称して「リン酸カリウム」と呼びます。
リン酸カリウムの使用用途
リン酸カリウムは、3種類のどの物質も食品添加物として広く使用されています。食品添加物としての主な使用例は、ソーセージなどの食肉加工品・魚肉練り製品の結着剤やプロセスチーズの乳化剤などが挙げられます。また、リン酸カリウムは、中華めんのかんすいの原料にも使用されている物質です。
また、リン酸二水素カリウムは、醸造工業の培養剤、pH調整剤、合成清酒の味覚調整用、脱鉄剤、醗酵促進剤、醸造用添加剤、緩衝剤、肥料などにも用いられています。これら以外にも工業的に幅広い用途があり、例えばリン酸水素カリウムの50%水溶液製品は、微生物培養基材、加工食品添加剤、石油化学触媒、不凍液配合剤、清缶剤などに用いられている物質です。
リン酸カリウムの性質
1. リン酸三カリウム
図1. リン酸三カリウムの基本情報
リン酸三カリウム(英: Tripotassium phosphate) は、化学式K3PO4で示される無機化合物であり、CAS登録番号は7778-53-2です。リン酸トリカリウムの別名で呼ばれる場合もあります。
分子量212.27、融点は1380℃であり、常温では吸湿性のある白色粉末です。密度は2.564g/mLであり、水溶液はpH11.5から12.5程度のアルカリ性を示します。アルコールには溶解せず、水への溶解度は、90g/100mL (20℃) です。
2. リン酸水素二カリウム
図2. リン酸水素二カリウムの基本情報
リン酸水素ニカリウム (英: Dipotassium hydrogenphosphate) は、化学式K2HPO4で示される無機化合物であり、CAS登録番号は7758-11-4です。リン酸二カリウムの別名で呼ばれる場合もあります。分子量174.2、融点は465℃ (分解) であり、常温では潮解性のある無色の結晶です。
密度は2.44g/mL、酸解離定数 pKaは12.35、アルコールに容易に溶解します。水への溶解度は、167g/100mL (20℃) です。また、水溶液は、弱アルカリ性を示します。
3. リン酸二水素カリウム
図3. リン酸二水素カリウムの基本情報
リン酸二水素カリウム(英: Potassium dihydrogenphosphate) は、化学式KH2PO4で示される無機化合物であり、CAS登録番号は7778-77-0です。リン酸一カリウムの別名で呼ばれる場合もあります。
分子量136.086、融点は400℃ (分解) であり、常温では吸湿性のある白色結晶性粉末です。密度は2.338g/mL、酸解離定数 pKaは7.20であり、アルコールには溶解しません。水への溶解度は、22g/100mL (25℃) です。
リン酸カリウムの種類
リン酸カリウムは、前述の通りリン酸二水素カリウム 、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウムの3種類があり、どれも一般的に販売されています。研究開発用試薬製品として販売されている他、食品添加物、工業用原料、食品用原料などとして販売されています。
1. 研究開発用試薬製品
研究開発用試薬製品としては、500mg、5g、25g、100g、500g、4kg、25kgなど、実験室で取り扱いやすい小容量からやや大型容量まで幅広く販売されています。なお、試薬製品グレードも様々なものがあるため、用途に合わせて選択することが必要です。
純粋な物質以外では、リン酸水素二カリウムの50%溶液や1.0M溶液、リン酸カリウムの三塩基酸 一水和物なども、販売されています。
2. 産業用製品
リン酸カリウムは、3種類とも産業用にも販売されています。1kgから販売されているものや、25kg紙袋から販売されているものなど、メーカーによって容量は様々です。例えば、リン酸水素カリウムの50%は、30kg/300kgなどの容量規格で販売されています。食品添加物など、食品用途が多いですが、産業用・工業用の広い用途を想定して提供されています。
その他関連物質としては、(KPO3)xで表されるメタリン酸カリウムも食品加工、食肉結着剤用途を想定して販売されている物質です。
参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/7778-53-2.html