ベンジルアミン

ベンジルアミンとは

ベンジルアミン (benzylamine) とは、芳香族アミンの1種であり、フェニルメチルアミンとも呼ばれる化合物です。

アンモニア (NH3) のHを1つとったアミノ基 (NH2) に、トルエン (C6H5CH3) から同じようにHを1つとったベンジル基 (C6H5CH2) がつながった構造を有しています。無色から淡黄色の液体で揮発性が高く、アンモニアに似た強い臭いがあります。

水やエタノールあるいはアセトンに極めて溶けやすいです。なお、化学式はC6H5CH2NH2、分子量107.15、融点/凝固点10℃となっています。沸点又は初留点及び沸騰範囲は185 ℃、引火点70℃、CAS登録番号100-46-9です。

消防法で「危険物第四類 第三石油類 危険等級Ⅲ・水溶性」、危険物船舶運送及び貯蔵規則では「腐食性物質」、航空法で「腐食性物質」に指定されています。

ベンジルアミンの使用用途

ベンジルアミンは、医薬品はじめ染料や界面活性剤の原料など産業上の基礎材料として幅広く活用されています。例えば、ベンジルアルコール、シアン化ベンジルなど化合物の製造原料です。

工業用途では、農薬や染料、防腐剤、プラスチック、香料、ゴムなどの製造に広く使用されます。さらに、さまざまな医薬品や農薬を合成する際の官能基の導入や置換反応の起点としても使用される、重要なビルディングブロックでもあります。

ベンジルアミンの性質

ベンジルアミンは無色透明な液体であり、沸点は185~187℃、融点は-51℃です。比重は1.04、蒸気圧は20℃において、0.15 kPaです。水には微溶性で、エタノール、アセトン、ジエチルエーテルなどの有機溶媒に溶解します。

アルカリと反応し、水酸化ナトリウムと反応するとベンジルアミンナトリウムと水が生成します。また、酸と反応して塩化水素や硫酸などの塩酸塩や硫酸塩を形成します。

ベンジルアミンの構造

ベンジルアミンは化学式 C6H5CH2NH2 、分子量107.15 で表される有機化合物です。フェニル基 (C6H5) がメチレン (CH2) 基を介して、アミノ基 (-NH2) に結合したユニークな化学構造を持っています。

ベンジルアミンは、窒素原子にアルキル (メチル) 基と水素原子が1つずつ結合しているため、一級アミンに分類されます。一級アミンは酸化、還元、置換反応など、さまざまな修飾を受けられるため、多くの化学反応において重要な官能基です。

ベンジルアミンのその他情報

ベンジルアミンの製造方法

ベンジルアミンの製造には、ベンゼンとアンモニアを反応させる方法やトルエンとアンモニアを反応させて得られる方法などで合成することができます。

最も一般的な方法は、アンモニアまたはアミンの存在下、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を用いて塩化ベンジルを還元する方法です。

まず、ベンジルアルコールと塩酸を反応させ、塩化ベンジルを調製します。次に、合成した塩化ベンジルを、アンモニアまたはメチルアミンエチルアミンなどのアミン存在下、ナトリウムなどのアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属と混合します。

この混合物を約80〜100℃の温度まで加熱することで、塩化ベンジルをベンジルラジカルに還元する反応が起こります。生じたベンジルラジカルは、アンモニアまたはアミンと反応してベンジルアミンが合成されます。

その後、エーテルやジクロロメタンなどの溶媒を用いて反応混合物から生成物を抽出します。この合成法は複数あるベンジルアミン合成法の中で最も効率的であり、高い純度の生成物を得ることが可能です。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0102-0527JGHEJP.pdf
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/dt/html/GI_10_001/GI_10_001_100-46-9.html

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