ヨウ化リチウム

ヨウ化リチウムとは

ヨウ化リチウムとは、化学式LiIであらわされる化合物であり、リチウムのヨウ化物です。

外観は、白色からうすい黄褐色の結晶、粉末、塊または粒状の物質です。ヨウ化リチウムは、GHSにおいて、いずれも非該当に分類されます。ヨウ化リチウムの法規制は、労働安全衛生法や労働基準法、PRTR法、毒物および劇物取締法において、いずれも非該当です。

製造方法として、炭酸リチウムとヨウ化水素酸との反応や炭酸リチウムの水分散スラリーにヨウ化水素ガスを吹き込む方法などが知られています。

ヨウ化リチウムの使用用途

1. 触媒

ヨウ化リチウムの使用用途には、酢酸製造用の助触媒としての利用が挙げられます。反応媒体中にリチウム化合物を導入することで、ヨウ化水素の形成を制御することが可能です。

2. 電池

ヨウ化リチウムは、リチウム電池の無機固体電解質として利用されています。電池の安全性に大きく寄与することから特に注目されている用途です。

リチウムヨウ素電池は、万が一、正極と負極がショートしても、ヨウ化リチウムが無機固体電解質として発生することで、穴がふさがれる自己修復性という性質があります。内部短絡しにくく固体電池としての安全性、信頼性が高いことから、ほぼ全てのペースメーカーに使用されています。

3. その他

吸収式冷凍機用の吸収液や色素増感太陽電池、有機ELなどの電子材料分野、中性子検出のリン光体などへの用途があります。

ヨウ化リチウムの性質

ヨウ化リチウムは、分子量133.85、CAS登録番号10377-51-2で表わされます。臭いに関するデータはありません。融点は446℃、沸点又は初留点及び沸騰範囲1190℃、密度は3.49です。

引火点および発火点、分解温度に関するデータは現状ありません。水、エタノールに溶ける性質を持っています。また、光により変質する可能性があり、潮解性があります。

通常の環境条件において安全です。危険有害な分解生成物として、ハロゲン化物、金属酸化物があります。

ヨウ化リチウムのその他情報

1. 取扱い方法

作業場所は局所排気装置を設置するか、発生源の密閉化が必要です。また、取扱場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設置し、その位置を明瞭に表示します。

作業者は、防塵マスク、保護手袋、側板付き保護眼鏡、必要に応じて、ゴーグル型または全面保護眼鏡を着用し、長袖作業衣を着用します。

作業中は、飲食、喫煙を避け、取扱い後は、手、顔をよく洗い、うがいが必要です。また、作業場所から手袋などの汚染した保護具を持ち出さないよう注意します。

2. 応急措置

吸入し た場合は、新鮮な空気のある場所に移し、症状が続く 場合は、 医師に連絡します。 皮膚に付着し た場合は、直ちに石鹸と 大量の水で洗浄し、 症状が続く場合には、同様に 医師の手当が必要です。

眼に入っ た場合は、 数分間水で洗浄し、コンタクトを着用している場合は、取り外します。その後、直ちに医師の手当てを受ける必要があります。

飲み込んだ場合は、口をすすぎ、意識のない場合は、口に何も与えず、医師もしくは毒物管理センターに連絡が必要です。

3. 火災時の措置

熱分解生成物として、刺激性のある有毒なガスと蒸気を発生させる恐れがあるため、消火時は、個人用保護具を着用し、消防士は自給式呼吸器および消火装備を着用する必要があります。

消火剤は指定されていないことから、周囲の環境および現場状況に適した消火剤で消火を行います。

4. 保管方法

容器は遮光し、冷蔵庫 (2~10°C) に密閉し保管します。また容器内は、不活性ガスを封入し、高温、直射日光、湿気を避け、ガラス製の容器で保管が必要です。

5. 結晶構造

LiIの結晶構造は、ほかのハロゲン化リチウムと同様のNaCl型の構造です。ヨウ素イオンの分極が大きく、10−7S/cmというイオン導電性を発現することから、1972年にペースメーカ用電池の電解質として実用化されました。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0112-0345JGHEJP.pdf

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