ダイヤモンド工具

監修:株式会社CJVインターナショナル

ダイヤモンド工具とは

ダイヤモンド工具とは、非常に硬い天然ダイヤモンドや人工ダイヤモンドを素材として製造された工具や切削工具のことです。

ダイヤモンド (単結晶) は高硬度で金属の加工に用いられる切削工具や、研削ホイール、ワイヤーソー、研磨などに用いられます。ダイヤモンド工具 (単結晶) は非常にシャープな刃先を成型でき、寿命が長く性能も高いですが、複雑な形状に加工するのが困難で、かつ製造コストが高いため高価です。したがって、非常に高い精度や耐久性が必要なアプリケーションで使用されます。

しかし、結晶の向きに沿って割れる性質 (へき開性) を持っており、硬さが安定しない事もあります。複雑な形状を加工する際には、人工多結晶焼結ダイヤモンド (PCD) が一般的に用いられます。多結晶なので様々な方向を向いた単結晶の集合であり、あらゆる方向からの力に強く、割れにくい性質を持っています。

ダイヤモンド工具の使用用途

ダイヤモンド工具の主な使用用途は以下の通りです。

1. 機械加工

PCD 工具は、高品質部品の生産や難削材料の加工において、超硬工具やセラミック工具よりも優れた選択肢となっています。その耐久性と性能から、自動車や航空宇宙部品をはじめ、多くの産業分野で採用されています。ダイヤモンド工具はアルミニウムの加工はもちろん、超硬合金や CFRP などの非常に硬い材質やセラミックス・樹脂などの加工に用いられます。

2. 建設業

ダイヤモンドコアビットやダイヤモンドワイヤーソーは、コンクリート、アスファルト、石材などの建設材料を切断するために使用されます。建築現場での穴あけや切削作業において非常に重要です。

3. 石工業

天然石や合成石の切断、研磨、彫刻にダイヤモンド工具が用いられます。彫刻家や石工が芸術的なプロジェクトを実現するために利用します。

4. 電子産業

電子産業では、シリコンウェハーの切断や研磨、半導体製造プロセスでの精密作業に使用されます。高い精度が要求されるこの分野ではダイヤモンドの硬度が大変役立ちます。

5. 宝石加工

ダイヤモンドは宝石として高価で美しいものとされていますが、他の宝石を切削し、研磨し、彫刻するための工具としても使用されます。ジュエリー業界で広く利用されています。

6. 医療分野

ダイヤモンド刃を持つ手術用のスカルペルやドリルが、神経外科手術や歯科手術などで使用されることがあります。ダイヤモンドの刃は精密で非常に鋭利です。

7. 研究と科学

ダイヤモンドは高圧高温実験やダイヤモンドアンビルセルなど、科学研究の特殊な装置に使用されることがあります。

ダイヤモンド工具の原理

ダイヤモンド工具の原理は、ダイヤモンドという非常に硬く、耐摩耗性のある物質が、他の物質を切削、削り取る際にその硬度と耐摩耗性を活用することに基づいています。

ダイヤモンドは地球上で最も硬い物質の1つであり、モース硬度スケールで10の硬度を持っています。これは、ほとんどの他の物質よりもはるかに硬いことを示しています。そのため、ダイヤモンドはさまざまな材料を切削、削り取る際に耐摩耗性を提供します。

工具に使用されるダイヤモンドは通常、金属またはセラミックの基材に取り付けられます。これらの基材にダイヤモンドが固定され、工具の刃物として機能します。また、スパッタリングやCVD (化学的気相成長法) 、PVD (物理的気相成長法) と呼ばれる手段によって、炭素の原子を工具表面に蒸着させ、ダイヤモンドとしてコーティングすることもあります。

なお、ダイヤモンドは切削加工中に摩耗がほとんど発生しません。これにより、ダイヤモンド工具は長期間にわたって高い性能を維持できます。他の材料ではすぐに摩耗する状況下でも、ダイヤモンド工具は効果的に材料を切削し続けます。また、優れた熱伝導性を持っています。これは、熱が工具の刃から迅速に伝わり、切削面を冷却する効果があります。この特性は、材料の加工中に熱が溜まることを防ぎ、工具の寿命を延ばすのに役立ちます。

しかし、ダイヤモンドが炭素原子の固まりであることから、鉄系鋼材の切削には不向きです。鉄系鋼材を加工し刃先温度が上昇すると炭素原子が鉄に吸収されてしまい、刃先摩耗または欠損に繋がります。さらに、ダイヤモンド工具は非常に精密な切削と研磨が可能であり、高品質な仕上げを提供します。これは、精密な工作物や高精度の寸法が必要なアプリケーションで特に重要です。

ダイヤモンド工具の種類

ダイヤモンド工具の主な種類は以下の通りです。

1. ダイヤモンド切削ツール

超硬合金や工具鋼などのドリル・リーマー・エンドミル・バイトなどの切削工具を基材に、単結晶ダイヤモンドや多結晶ダイヤモンドをロー付して成形して製造されます。穴あけ・溝入れ・フライス・切断など様々な加工が可能です。

2. ダイヤモンド切断ホイール

メタルボンドやレジンボンドなどの異なる結合材料で製造され、金属、セラミック、ガラス、石材などの硬材料を切断するために使用されます。建設、加工業、製造業などで広く利用されています。

3. ダイヤモンド研削ホイール

ダイヤモンド粒子が固定された研削ホイールで、金属や硬い材料の表面を研磨するために使用されます。金属加工、宝石加工、精密工学などで利用されます。

4. ダイヤモンドワイヤーソー

石材やコンクリートの切断に適しています。建設業、石工業、環境調査などで使用されます。

5. ダイヤモンドコアビット

コンクリート、アスファルト、石材などの穴あけに使用されます。建設業や地盤調査などで一般的です。

6. ダイヤモンド彫刻ツール

ダイヤモンド彫刻ツールは、石材、木材、ガラス、金属などの材料を彫刻するために使用されます。美術家や工芸家によって広く利用されます。

7. ダイヤモンドドリルビット

コンクリートや石材の穴あけに使用され、建設プロジェクトで一般的です。

8. ダイヤモンドカッター

ダイヤモンドカッターは、手術用のスカルペルからガラスカッターまで、さまざまな切削ツールに使用されます。ダイヤモンド砥粒砥石や砥粒紙にダイヤモンド砥粒が付いており、工具の研磨や研磨作業に使用されます。

これらは一般的なダイヤモンド工具の種類の一部です。それぞれの工具は特定の用途に適しており、硬材料の切削、加工、研磨、彫刻など、様々な産業で重要な役割を果たしています。

本記事はダイヤモンド工具を製造・販売する株式会社CJVインターナショナル様に監修を頂きました。

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