セシウム

セシウムとは

セシウム (英: Cesium) とは、室温またはその付近で軟らかく黄色がかった銀色をした液体です。

セシウムの元素記号はCsで、原子番号は55番、CAS登録番号は7440-46-2のアルカリ金属の1つです。天然にはポルサイトとして、他のアルカリ金属に伴って産出しますが、極少量です。鉱物としてはポルサイトやロジサイトなどがあり、紅雲母、緑柱石、カーナル石などにも含まれています。

空気中で急速に酸化し、また湿った空気中では自然発火します。金属中最も陽性の高い元素で、水と反応して水素を発生し自然発火します。

セシウム137は、人工放射性同位体で核分裂生成物の1つです。核爆発実験によって発生する、「死の灰」中に主成分として含まれています。

セシウムの使用用途

セシウムは、光があたると電子を放出しやすい性質を持っています。アンチモンとの合金は光電管、ストロボ放電管に用いられています。

セシウムの工業用途では、ほかの金属酸化物触媒の機能を著しく向上させる触媒のプロモータが あります。硝酸セシウム は光学ガラスの材料となり、また、融解セシウム塩中にガラスを浸すことで強 度を増加させることも行われます。ヨウ化 セシウムやフッ化セシウムは X線や γ線,素粒子などを吸収して光を放つシンチレーション効果をもっていて、放射線計測や医療診断などに広く用 いられています。

超微細エネルギー準位間の電子遷移にて放出されるマイクロ波の振動周期は、セシウム原子時計として、秒の定義に用いられています。

セシウムの性質

セシウムの融点は28.5℃、沸点は705℃であり、密度は1.873g/mLの非常に延性のある金属です。室温で固体のすべての元素の中で、セシウムは最も柔らかくモース硬度はわずか0.2です。セシウム金属は非常に反応性が高く、自然発火性のため空気中で自然発火し、他のアルカリ金属よりも低温でも水と爆発的に反応します。

セシウムの構造

セシウムにはα、β、γ型の結晶多形があり、常温常圧では他のアルカリ金属と同様に体心立方格子構造を有する立方晶のα-Csで、空間群はIm3m、格子定数a=614pmです。41kbarの高圧下で面心立方格子構造で格子定数a=598pmのβ型へと相転移し、さらに高温高圧下になると菱面体系のγ型になります。

セシウムのその他情報

1. セシウムの製法

セシウムは主に、酸やアルカリによる分解または、直接還元法により、ポルサイト鉱石から抽出されます。鉱石に由来するセシウム化合物から製造されることもあり、塩化セシウムなどのハロゲン化物がカルシウムやバリウムにより700~800℃で還元され、蒸留により金属セシウムが得ることができます (2CsCl+Ca→2Cs+CaCl2)。他にも、シアン化セシウム (CsCN) の電気分解や、アジ化セシウム (CsN3) の熱分解、重クロム酸セシウム (Cs2Cr2O7) とジルコニウムとの反応などによっても、セシウムを得ることができます。

2. 法規情報

セシウムは、消防法において「第3類:自然発火性物質及び禁水性物質, アルカリ金属 (カリウム及びナトリウムを除く) 及びアルカリ土類金属, 危険等級I, 第一種自然発火性物質及び禁水
性物質」に指定されており、取り扱いには注意が必要です。その他の毒物及び劇物取締法、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) などの主要な法規制には該当していません。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、乾燥した換気の良い冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 不活性ガス雰囲気下で取り扱い、貯蔵する。
  • リン、ハロゲン類、アルコール類、酸素、水と激しく反応するため、接触を避ける。
  • 使用時は保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://www.sigmaaldrich.com/JP/ja/product/aldrich/239240

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