オキサロ酢酸とは
オキサロ酢酸 (英: Oxaloacetic acid) とは、化学式はC4H4O5で表される低分子生体物質のひとつです。
また、有機酸の一種で炭素鎖が4つの炭素原子を持ち、カルボキシル基 (COOH) とカルボニル基 (C=O) がそれぞれ2つ存在します。別称としては、α-ケトコハク酸、2-ケトコハク酸、2-オキソコハク酸、2-ケトブタン二酸、2-オキソブタン二酸、OAA、オキサル酢酸(旧名)があります。
クエン酸回路 (トリカルボン酸回路、TCA回路) の第一段階であるアセチルCoAの脱炭酸反応により、アセチルCoAが酵素によって脱炭酸されオキサロ酢酸となります。アセチルCoAと反応してクエン酸を生成することによりクエン回路が働き、エネルギーの生産や代謝産物の生成などが行われます。
アミノ酸代謝においては、アミノ酸の一部がクエン酸回路へと入るために必要な中間体であり、オキサロ酢酸と反応することでクエン酸回路へ入っていきます。また、一部のアミノ酸の前駆物質としても機能します。
また、ホスホエノールピルビン酸を経由し糖新生にも利用されます。単子葉植物などのC4植物において、炭酸固定の最初に生成する物質です。常温では不安定で、脱炭酸化が起きてピルビン酸に変換されます。
化学式 | C4H4O5 |
英語名 | Oxaloacetic acid |
分子量 | 132.07 |
融点 | 161 °C |
オキサロ酢酸の性質
1. 化学的性質
オキサロ酢酸はカルボキシル基とケトン基を含むジカルボン酸であり、酸性を示します。強酸性であり、水溶液中でのpHは比較的低くなります。また、オキサロ酢酸は不安定であり、空気中で酸化されることがあります。
2. 生化学的性質
オキサロ酢酸はクエン酸回路において酸素を受け取ることでクエン酸に変換されます。また、アミノ酸の分解によっても生成され、アミノ基を持つ分子と反応してアスパラギン酸を生成することがあります。
3.生物学的役割
細胞内で代謝反応において重要な役割を果たしています。クエン酸回路において、酸素を受け取りエネルギー生産の過程に関与します。また、アミノ酸の代謝や、糖質の代謝など様々な化学反応にも関与します。
オキサロ酢酸の使用用途
1. 医薬品
医薬品の原料として広く使用され、高血圧治療薬や抗てんかん薬にオキサロ酢酸が含まれていることがあります。オキサロ酢酸を体内に補充することで、肝機能障害や腎臓病などの疾患治療に役立つことが報告されています。また、抗酸化作用や抗がん作用もあるとされ、がん治療の補助的な治療薬として研究が進んでいます。
2. 化学反応の触媒
有機合成の反応において、アルキル化やアセトアセチル化などの反応触媒として使用されます。
オキサロ酢酸のその他情報
1. 法規情報
消防法は危険物第4類、労働安全衛生法は第2特定化学物質、毒物及び劇物取締法では劇物に分類されます。
2. 使用上の注意
オキサロ酢酸を取り扱う際は、危険物取扱者の安全衛生責任者が必須です。使用前には、安全衛生データシート (SDS) を確認し、眼や皮膚に万が一触れた場合は水洗いして医師の診察を受けます。
保管する際は火気や高温を避け、密閉容器に保管します。また、強い酸性を示し、アルカリ性の物質と反応すると発熱することがあるため、アルカリ性物質との混合は避けることが大切です。
オキサロ酢酸を摂取すると消化器系や腎臓に悪影響を及ぼすことがあるため、絶対に口にしないでください。過剰な吸入や摂取、皮膚への吸収などにより呼吸困難やめまい、吐き気、頭痛、意識障害などの症状を引き起こすことがあります。使用後は、手洗いをし、衣服の洗浄を行います。廃棄物は適切な方法で処理することが必要です。
参考文献
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/970