オキシドとは
“オキシドとは、広義には酸化物(英:oxide)全般を指します。つまり、酸素およびそれより電気陰性度の小さな元素からなる化合物を指します。
狭義には、以下の有機化合物を指します。
- 分子中の2個のC原子がO原子と結合した環状エーテルです。この環状エーテルをエポキシドとよびます。C2の三員環化合物のエチレンオキシド(オキシラン)、C3の四員環化合物のトリメチレンオキシド(オキセタン)、C4の五員環化合物テトラヒドロフラン(THF、テトラメチレンオキシド、オキソラン)C5の六員環化合物テトラヒドロピラン(THP、ペンタメチレンオキシド)が代表的なオキシド化合物として有名です。
- 分子中のC, H原子以外の原子(ヘテロ原子)が、O原子に配位結合した有機化合物です。代表例としては、ピリジン-N-オキシドC5H5N→OまたはPy→O、トリフェニルホスフィンオキシドPh3P→Oがあります。
オキシドの使用用途
ここでは、狭義のオキシドの使用例について説明します。
①のエポキシドは、歪みエネルギーが高く反応性に富み、求核性を持った化合物と容易に付加反応を起こします。そのためポリマー、医薬品、ファインケミカルなどの有機合成原料の用途があります。また、分子内に2個以上のエポキシ基をもつ化合物を重縮合させてつくるのがエポキシ樹脂であり、これは主に接着剤に用いられています。
また、エポキシドの一種であるプロピレンオキシドは、ポリウレタンの合成原料に、エチレンオキシドは、エチレングリコールの合成原料に、エチレンオキシドガスは、医療機器・器具の滅菌剤に使用されています。
また、②に該当する化合物であるピリジン-N-オキシドは有機合成において酸化剤としての用途があります。また、錯体化学における配位子として選択されることがあります。
トリフェニルホスフィンオキシドは、硬い金属に対する配位子、難燃剤原料、有機合成反応触媒といった用途があります。