エチルシクロヘキサン

エチルシクロヘキサンとは

エチルシクロヘキサンとは、6つの炭素が環状に並んだシクロヘキサンにエチル基が付いた有機化合物です。

ヘキサヒドロエチルベンゼンやシクロヘキシルエタンとも呼ばれており、分子式C8H16で表されます。常温では液体で存在しており、比較的安定な化合物です。

引火性のある液体のため、消防法では「第4類引火性液体」「第一石油類非水溶性液体」に該当します。ベンゼンと水素ガスの混合物にウルトラファインバブルを導入することで生成が可能です。

エチルシクロヘキサンの使用用途

エチルシクロヘキサンの主な用途として、洗浄剤・塗料・印刷インキの溶剤が挙げられます。印刷インキの中でも、発色性と保存性に優れたインキ材料の原料として使用されていることが多いです。

また、塗料の用途には、光化学反応性の小さい溶媒として、キシレンの代わりに使用されます。安定性は高いですが、水生環境に関しては、使用期間関わらず有害性があるため、廃棄する際には都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄する必要があります。

エチルシクロヘキサンの性質

エチルシクロヘキサンは、分子量112.21、CAS番号1678-91-7、無色無臭の液体 (20℃、1気圧)です。 

1. 物理的性質

融点 -113℃、沸点・初留点および沸騰範囲 132℃、引火点 35℃、自然発火温度 238℃、爆発下限界及び爆発上限界 0.9〜6.6 vol%です。熱的性質については、製造メーカーによって10〜20℃程度数値が異なるため、使用前にSDSを確認する必要があります。

動粘性率 0.787mPa・s (25℃)、蒸気圧 12.8mmHg (25℃) 、 密度 0.7879g/cm3 です

2. 化学的性質

水への溶解度は6.3mg/L、またアセトン、エタノール、トルエンと混和します。通常の取扱いにおいては安定ですが、流動・撹拌などによって静電気が発生することがあります。

強酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の発生する危険も高いです。また、燃焼によって、一酸化炭素、二酸化炭素などの有毒ガスを発生します。

エチルシクロヘキサンのその他情報

1. エチルシクロヘキサンの安全性

引火性の高い液体および蒸気を発生させ、飲み込んだり、気道に侵入したりすると、生命に危険の恐れがあります。また、皮膚に接触すると、乾燥や発赤が生じます。

熱や火炎、火花で容易に発火するため注意が必要です。蒸気は空気と爆発性混合気体を形成します。蒸気は空気より重く、低い場所、密閉された場所 (下水道、地下、タンク) に溜まりやすいです。

保管時は、熱、火花、裸火などの着火源から離し、酸化剤から離れた場所で保管します。容器は直射日光を避け、密閉し換気のよい冷所で貯蔵します。また、保管場所は耐火構造、不燃材料で作る必要があります。

2. エチルシクロヘキサンの取扱方法

引火性液体であることから、取扱時は燃焼の3要素 (可燃物、酸素供与体、着火源) に注意して作業を行います。作業時は、引火性蒸気が発生することから、局所または全体換気設備のある場所で作業を行う必要があります。

容器は密閉し、作業場は接地しアースをとり、静電気の発生を防止することが重要です。また、防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用することが推奨されています。

作業者は、保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用して作業します。作業後は保護手袋を着用していた場合でも、よく手を洗い作業を終了します。

3. 応急措置

火災が発生した場合は、小火災の場合、粉末消火剤、二酸化炭素、一般の泡消火剤を使用します。大火災の場合は、散水、水噴霧、一般の泡消火剤を使用します。使用してはいけない消火方法は、棒状注水消火です。

身体に付着した場合は、直ちに汚染された衣類を全て脱ぎ、皮膚を水で十分に洗い流します。また、飲み込んだ場合は、直ちに医師に連絡し、無理に吐かせず医師の指示に従い行動します。

吸引した場合は、新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させます。眼に入った場合、水で数分間注意深く洗う必要があります。

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