イソアミルアルコール

イソアミルアルコールとは

イソアミルアルコール (英: Isoamyl alcohol) とは、ウイスキーのような香りの無色の液体です。

化学式はC5H12Oで、分子量は88.15、CAS登録番号は123-51-3です。イソアミルアルコールは3-メチル-1-ブタノール (英: 3-Methyl-1-butanol) の慣用名で、イソペンチルアルコール (英: Isopentyl alcohol) とも呼ばれます。

有機化合物の1種で、ペンタノールの異性体の1つです。無色の液体で、加熱や燃焼により分解します。特徴的な臭気があり、酒類、果実等に天然に含まれている成分です。

イソアミルアルコールは、天然に存在するエステルであるバナナ油製造時の成分であり、産業的にも香料として生産されています。これは、エタノール発酵の主要な副産物として生成される一般的なフーゼルアルコールです。

イソアミルアルコールの使用用途

分子生物学分野において、核酸抽出時に使用される試薬として使用されています。イソアミルアルコールは、ウイスキーのような特徴的な香りを有することから、加工食品の香料として使用されています。

イソアミルアルコール誘導体も香料として使用されており、バナナのような果実臭を有する酢酸イソアミル、甘い果実臭を有する酪酸イソアミル等が使われています。

イソアミルアルコールの誘導体である亜硝酸イソアミルは、医薬品として有用です。狭心症等の心臓疾患に使われたり、シアン化物の解毒剤として使われています。

イソアミルアルコールの性質

イソアミルアルコールの融点は-117℃、沸点は131℃、密度は0.82g/cm3です。水に溶けにくく、有機溶媒には容易に溶解します。

蒸気を赤熱管に通すと、アセチレン、エチレン、プロピレン、その他の化合物に分解されます。また、クロム酸によってイソバレルアルデヒドに酸化され、塩化カルシウムおよび塩化スズ (IV) に対して付加化合物の結晶を形成します。

イソアミルアルコールのその他情報

1. イソアミルアルコールの製造法

イソアミルアルコールは、イソブテンとホルムアルデヒドの縮合により合成できます。プレノールを生成させた後に水素化することで、イソアミルアルコールが得られます。

   CH3C(CH3) = CH2 + HCHO → CH3C(CH3) = CHCH2OH
   CH3C(CH3) = CHCH2OH + H2 → CH3CH(CH3)CH2CH2OH

イソアミルアルコールは、強い塩水で振とうし、油性層を塩水層から分離する方法を使ってフーゼル油から分離できます。油性層を蒸留し、128〜140℃の間で沸騰する留分を収集した後、生成物を熱石灰水で振とう、油性層を分離し、塩化カルシウムで生成物を乾燥させ、蒸留して132〜135℃の沸点の留分を回収する手順により、さらなる精製が可能です。

2. 法規情報

イソアミルアルコールは、消防法では危険物第4類の第二石油類、非水溶性に分類されており、使用の際には注意が必要です。労働安全衛生法では、通知対象物 (政令番号48)、表示対象物 (政令番号48)、危険物・引火性の物、有機溶剤中毒予防規則の第2種有機溶剤等、作業環境測定基準、作業環境評価基準に該当しています。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密閉し、涼しく乾燥し換気の良い場所に保管する。
  • 熱・火花・火炎など着火源から遠ざける。
  • 火災及び爆発の危険があるため、加温の際は注意する。
  • 混触すると危険を伴うため、 酸化剤、還元剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属との接触を避ける。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 燃焼により、一酸化炭素や二酸化炭素などの有害ガスが発生するので注意する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
  • 使用後は適切に手袋を脱ぎ、本製品の皮膚への付着を避ける。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0651.html

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