PAT

PATとは

PAT (英: Process Analytical Technology) とは、プロセス分析技術の略で、製造プロセスの途中で実施される製品の品質向上を目的としたモニタリングと分析を行う技術です。

製品の品質を保証するためには、出荷前に品質検査を実施します。しかし、製造工程の最終段階でのみ検査を実施していたのでは、品質不良を発見した時点で多くの材料や、時間、資源が無駄になり効率的な生産ができません。

そこで、各製造プロセスごとに、中間の検査を実施することで、製造不良を早めに発見し早めに対処が可能となり、効率的な生産を実現できます。

PATは医薬品、化学薬品、食料品などの製造分野で用いられる品質管理手法です。製造プロセスの各段階において、各種分析技術を用いて中間製品の品質をリアルタイムにモニタリングし、品質に異常を発見した際には、即座に警告を発し、対策を促す技術です。

PATの使用用途

PATは主に粉体、液体、気体などの製品の製造プロセスに用いられる技術であり、システムが物理的、化学的、または生物学的なセンシング技術を用いて、中間製品の物性をモニタリングします。

またPATシステムは、モニタリングで得られた値を常時監視していて、正常値を超える値が観測された場合には、オペレーターに対して警告を発して対応を促したり、自動で工程を止めるなどの動作を行います。

例えば、医薬品の製造プロセスにおいては、温度や圧力、pHなどの物理量を測定し、不良品の発生を予測します。食品の製造プロセスでは色度や粘度などの化学量を測定し、そのことで最終製品の品質や味覚の異常の有無を予測します。化学品の製造プロセスでは、組成や濃度などの化学量を測定し、品質以上や後工程の安全性を評価します。

PATの原理

PATは製造分野別に見ると、特に医薬品の製造プロセスにおいて、重要視されています。

PATは各製造プロセスにおける物理的特性、化学的特性、生物学的特性を測定するセンサー、センサーから得られたデータを使って分析を行う分析装置、分析結果から製品の品質が保たれているかを判断する品質管理機能の3つが連携して動作します。

製造工程におけるプロセスごとにPATが常にリアルタイムで実施されていることで、あるプロセスに問題が発生した場合に、それを管理者に知らせることができ、早めのアクションをとることで、製造歩留まりの低下を防ぐことができます。

例えば、ある製造プロセスで使用する反応炉の中の温度管理を定める際に、適切に製品を製造できる温度範囲の上限と下限のデータを得たとすると、その範囲よりも厳しい範囲内に管理限界を定めておき、その限界を超えたら直ちにアクションを取れるようにしておきます。

このようにして早めに適切なアクションを取ると不良品が後工程に流れることを防げます。

PATの種類

PATは製造プロセスで実施する品質管理のための技術であり、測定対象や測定方法、その結果の分析方法は様々です。PATの概念に沿った品質管理技術であれば、どのようなセンサーを使用して、どのような分析手法を用いてもPATであると言えます。

その一方で、医薬品製造などの需要の多い産業向けには、特定のセンサーと分析装置など、PATの一部の機能を組み合わせたPAT分析装置が市販化されています。

例えば、in-situ分光法やクロマトグラフィーによる組成分析装置があります。これらの装置は、プロセス装置にセンサーを取り付け、プロセスを進めながら、リアルタイムで分析結果を得ることができます。また、反射赤外分光法 (NIR) やラマン分光法 (Raman) を使用した、原薬の開発に活用できるPAT分析装置などもあります。

PATの選び方

PATは、医薬品等の製造工程における品質管理のための総合的な手法であり、様々な製品や技術を組み合わせて実施するものです。そのため、PATは製造する製品の種類や工程によって様々です。

医薬品製造などの分野で、自社の製造する製品の製造工程において適用可能と思われるPAT関連製品が見つかるならば、その製品を製造しているメーカーや代理店に相談するのが良いでしょう。また、PATに関連したセミナーを実施している会社もありますので、そのセミナーに参加することも効果的です。

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