実験計画法ソフトとは
実験計画法ソフトとは、統計学の応用分野の1つである実験計画法に基づいて実験を行う際に、実験計画の設計と解析等を支援するためのソフトウェアです。
実験計画法 (英: Design of Experiments, DOE) は、統計学の応用分野とされ、複数の因子が影響しあう実験等において効率のよい実験方法を設計し、結果を数理的に適切に解析することを目的にしています。この方法を考案したイギリスの統計学者R.A.フィッシャーの考えに基づき、局所管理化、反復実行、無作為 (ランダム) 化の3つの原則 (フィッシャーの3原則) の上に成り立っています。
実験計画法に基づいて実験を行うことで効率を高め、有意な結論を導けると言われていますが、複雑な手順を要するため専門的な知識や経験が必要です。実験計画法ソフトは、これらの手順の雛形を用意したり、解析を自動化することで、実験計画の設計と解析を容易にするものです。
実験計画法ソフトの使用用途
実験計画法は、製造業、医療、農業、マーケティングなど、様々な分野で活用されており、実験計画ソフトもこれらの分野で使用されています。
1. 製造業
製造業では、製品の品質や生産性を向上させるために実験計画法ソフトが用いられます。品質に関わる温度管理や反応時間などの各種パラメータを変化させながら製造を行い、製造される製品や材料の強度や耐久性を評価し、歩留まりや製造コストの変化などを加味して最適な製造条件を求めるために使用します。
2. 医療分野
医療分野では、新薬の開発や新しい治療方法の開発に実験計画法とそのソフトが使用されます。薬の有効性や安全性を評価したり、治療方法の最適化を図る作業の効率化に寄与しています。
3. 農業
農業では、作物の収穫量を増やし、品質を向上させるために実験計画法が用いられます。例えば、肥料や農薬の使用量を変化させて、作物の収穫量、大きさ、味などの変化を観察することで、より良い収穫を目指します。
4. マーケティング
マーケティングの戦略を立案する際にも実験計画法ソフトが活用されています。例えば、新しい商品やサービスの認知度を効率的に高めるために、ターゲット層を変化させながら、それぞれの層にはどのような広告を出せば良いかを決めるためなどに、実験計画法ソフトが使用されます。
実験計画法ソフトの原理
実験計画法は、統計学に基づいたフィッシャーの3原則と呼ばれる、局所管理化、反復実行、無作為 (ランダム) 化の3つの原則の上に成り立っています。これらの原則に基づいた実験計画を設計して実験を行うことで、より早く正しいデータを得られるとしています。
- 局所管理化の原則
実験に影響を及ぼす多数の要因がある場合に、影響を調べる要因以外のすべての要因を可能な限り一定にすることです。 - 反復実行の原則
実験ごとの偶然の誤差の影響を除くために同条件で反復することです。 - 無作為 (ランダム) 化の原則
データーを抽出する際には、統計学的手法を用いて、ランダムに抽出するというものです。
実験計画法ソフトウエアは、製造業や医療分野などの実際の場面を想定して、実験計画法の設計と実験結果の分析を支援する機能を持っています。そのため、計画段階で決められた、より少ない試行回数で実験を終了することが可能です。また、効果を定量的に評価することができ、実験に影響を与える因子の相互作用がわかり、実験をモデル的に理解して最適解を見つけることも可能です。
実験計画法ソフトの選び方
実験計画法には、スクリーニング計画、要因計画、応答曲面計画、タグチ計画、混合計画と呼ばれるようないくつかの種類が存在し、目的に合わせて使い分ける必要があります。
そして、ソフトウエアにはいくつかの種類があり、対応している計画の種類が違います。さらに、計画の検証ツールやグラフィックツール、数値最適化ツールなどのソフトウエアに含まれる機能に違いがあります。また、ソフトによっては一部の機能を無償で体験できるものもあります。
実験計画の設計と解析を容易にするためのものですが、実験計画法に精通していなければ、取り扱いの難しいソフトと言えるため、実験計画法に関する書籍を読んだり、関連セミナーに参加するなどして理解を深めた上で選択することが大切です。