ジブチルアミン

ジブチルアミンとは

ジブチルアミン (英: Dibutylamine) とは、無色透明液体の2級アミンです。

IUPAC名はN-ブチルブタン-1-アミン (英: N-Butylbutan-1-amine) 、別名としてN‐ブチル‐ブタンアミン (英: N-Butyl-butanamine) やジ‐ノルマル‐ブチルアミン (英: Di-n-Butylamine) とも呼ばれます。

ジブチルアミンの使用用途

ジブチルアミンは、ゴム薬品や腐食抑制剤、界面活性剤として、あるいは医薬品や農薬、染料、鉱物浮選剤、乳化剤の原料などに幅広く利用されています。

1. ゴム薬品

ゴムの成形加工において、加硫促進剤として添加されています。原料ゴムに高い弾性を与えるために、硫黄を添加して分子同士を結合させることを加硫と言います。加硫時に加硫促進剤を添加することにより、良質なゴム製品を短時間で安く生産することが可能です。

2. 腐食抑制剤

腐食抑制剤とは、少量の添加により、金属の腐食を著しく防止できる無機または有機薬品です。アミン系の腐食抑制剤は、容易に発生するアンモニウムイオンが金属表面のマイナスに電化した部分を覆い皮膜を形成することで、酸性溶液からの金属の腐食を防止します。

ジブチルアミンの性質

化学式はC8H19Nで表され、分子量は129.24です。CAS番号は111-92-2で登録されています。

融点は-62°C、沸点は160°C、引火点は52°Cで、常温で液体です。密度は20°Cにおいて0.756〜0.761g/mlです。アンモニア様の臭気を持ち、アルコールやエーテル、水、アセトンに溶けます。腐食性が高く、可燃性を有します。

酸性・アルカリ性の程度を表すpHは11.5、共役酸の酸解離定数 (pKa) は11.31です。酸解離定数とは、酸の強さを定量的に表すための指標の1つです。pKa が小さいほど、強い酸であることを示します。

ジブチルアミンのその他情報

1. ジブチルアミンの製造法

ジブチルアミンの製造方法は、大きく分けて2つあります。1つ目は、アンモニアとブタノールまたは塩化ブチルをアルミナまたはシリカを触媒とし、300〜500℃の温度で加圧して生成する方法です。

2つ目は、アンモニア、ブタノール、水素を脱水素触媒下反応させる方法です。

2. 法規情報

ジブチルアミンは、以下の国内法令に該当します。

  • 消防法
    危険物第四類 第二石油類 危険等級Ⅲ
  • 労働安全衛生法
    危険物・引火性の物 (施行令別表第1第4号)
  • 危険物船舶運送及び貯蔵規則
    腐食性物質 (危規則第3条危険物告示別表第1)
  • 航空法
    腐食性物質 (施行規則第194条危険物告示別表第1)
  • 海洋汚染防止法
    施行令別表第1有害液体物質Y類物質

3. 取り扱い及び保管上の注意

取り扱う場合の対策
強酸化剤との接触は避けてください。局所排気装置内で、白衣や作業着、保護手袋などの個人用保護具を着用して使用します。

加熱により容易に発火するとともに、ニトロセルロースと混合により発火する危険性があります。

火災の場合
ジブチルアミンは、引火性の液体です。熱や炎、火花、静電気、スパークなどには近づけないようにします。また、熱分解により、一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物を放出する危険があります。

ジブチルアミンの蒸気は、空気と爆発的混合物を形成することがあるので注意してください。消火には水スプレーや泡、二酸化炭素、粉末消火剤、砂などを使用します。

吸入した場合
呼吸器系の障害を引き起こす可能性があります。局所排気装置内で使用してください。吸引してしまった場合は、新鮮な空気のある場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休ませます。

咽頭痛や咳、灼熱感、息切れ、息苦しさを感じる場合、医師に連絡してください。

皮膚に付着した場合
皮膚に接触すると有毒で、重篤な薬傷の危険性があります。長袖の保護衣を着用し、皮膚が露出しないようにしてください。

万が一皮膚に付着した場合は、汚染された衣類はすべて取り除き、暴露した部位は大量の水で洗い流します。痛みや発赤、水疱、皮膚熱傷などの皮膚刺激が続く場合は、医師に連絡してください。

眼に入った場合
強い眼刺激性があり、重篤な眼の損傷を引き起こす可能性が高いです。使用時は必ず保護メガネやゴーグルを着用してください。

眼に入ってしまった場合は、数分間水で注意深く洗浄します。コンタクトを着用している場合は、可能ならば外してください。痛みや発赤、重度の熱傷、視力喪失などの症状が予想されます。すぐに、医師に連絡してください。

保管する場合
ジブチルアミンは、光によって変質するおそれがあります。遮光性のガラス製容器に入れて密閉します。直射日光を避け、換気が良好な涼しい場所に施錠して保管してください。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/111-92-2.html
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0104-0111JGHEJP.pdf
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Dibutylamine

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です