画像処理装置とは
画像処理装置とは、カメラなどの画像に含まれる情報を抽出し、何が写っているかの特定・測定・解析をする装置です。
画像処理装置には、外部機器と連携するためのインターフェースが用意されています。画像処理装置で得られた物の形、距離、個数などを外部機器に送信することで、生産ラインの制御などが可能になります。
画像処理装置を使用する用途・目的 (対象物の種類、対象物の移動速度、処理の精度、処理速度など) に合わせて、装置の仕様、適用する画像処理手法及び、システム制御方法を選定することが大切です。近年では、人工知能や機械学習と組み合わせた装置の開発も行われています。
画像処理装置の使用用途
画像処理装置は、日常生活から工場、医療、交通・輸送など、様々な分野で利用されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。
- 工場における部品等の品質検査や個数の計測
- 画像モデル、文字、バーコードによる対象物の識別と認証
- ステレオ画像などの3次元情報を基にしたロボット制御
- 監視カメラの画像鮮明化と異常検知
- 車の運転アシストや自動運転
- レントゲンや CT など医療画像からの診断補助
- 個人識別のための顔認証システム
- 駅や商業施設での人数計測システム
画像処理装置の原理
画像処理装置の原理は、カメラやセンサーからの信号を画像化した後、コンピュータ上で画像変換や変形、特徴量などの情報を抽出し、対象物の特定・測定・解析することによる画像から対象物情報への変換です。
画像処理装置は、画像入力部、画像処理部、外部インターフェース部、システム制御部で構成されます。各部の機能は、以下の通りです。
1. 画像入力部
カメラなどのセンサーからの信号をデジタルデータに変換し、画像化します。赤外線カメラやラインセンサカメラなど、特殊カメラからの信号を画像化できるタイプもあり、使用目的に合わせて選択します。
2. 画像処理部
画像入力部で得られた画像をデータとして処理して画像の変換や変形、特徴量などの情報を抽出する演算を実行し、何が写っているかの特定及び測定・解析をします。画像処理部は、目的に沿って画像処理演算を組み合わせた画像処理手順を実行します。一連の画像処理手順は、プログラムを作成して実行されます。
画像処理演算は、取り扱うデータ量が多いです。そのため、検査など短時間で判定が必要な場合は、画像処理専用LSIや信号処理専用LSIを使って高速化しています。
3. 外部インターフェース部
画像処理開始信号の受信や画像処理部で測定・解析した結果をON/OFF信号やイーサネットやシリアル通信データにして出力します。製造ラインの制御装置やロボットなど使用目的に合わせて連携する機器が変わるため、TCP/IPやRS-232Cの様な一般的な通信方式からOPCの様な工業用の通信方式まで、様々な通信方式から適したものを選定します。
4. システム制御部
画像を取り込み、対象物の特定、計測・解析し、外部機器へ結果を出力する様な一連の処理のために画像入力部、画像処理部、外部インターフェース部の動作と連携を制御します。各部の動作及び連携のタイミングと内容は、画像処理装置の目的に合わせて変わるため、プログラムを作成します。
画像処理装置を用いて検査や品質管理を実施するためには、システムに求められる性能をもとに、画像の取り込みから結果出力までの処理手順を画像処理ソフトウェアの組み合わせと外部機器との連携をプログラム化する必要があります。
画像処理装置のその他情報
画像処理ソフトウェア
画像処理部の役割である画像をデータとして処理を行い、画像の変換や変形、特徴量などの情報を抽出する演算処理は、コンピュータのプログラムとして実行され、画像処理ソフトウェアと呼ばれています。画像処理装置の画像処理ソフトウェアは、画像入力から画像処理、そして外部機器との連携という一連の処理制御ができることが重要です。
最近では、カメラや外部出力の標準化が進み、画像処理だけでなく、カメラの制御、画像の表示や処理結果の外部出力インターフェース制御などを備えたパッケージも出てきています。また、検査や計測に目的を絞り込んだ画像処理ソフトウェアのパッケージなどもあります。
また、近年では、既存の画像処理ソフトウェアと機械学習やAI技術などを組み合わせることで解析や特徴抽出の精度を上げる試みも行われている状況です。
参考文献
https://www.automation-news.jp/2020/03/47975/
http://optronics-media.com/news/20190319/56189/
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2004/09/news052.html