光波長計

光波長計とは

光波長計 (英: Optical wavelength meter) とは、光の波長を測定することを目的にした専用の装置です。

光の波長を測定するための装置という点では、光スペクトラムアナライザとほぼ同義ですが、一般に光波長計では測定のダイナミックレンジを絞っているため感度が高いという特徴があります。

光スペクトラムアナライザは汎用性を持たせるために様々な機能が組み込まれていますが、光波長計は波長計測という最小限の機能に留められているため、価格が手頃な機種も多いです。

なお光波長計で得られた結果は真空中の光の波長であり、実際に空気中で観測される波長とは空気の屈折率の分だけ (0.03%程度) のズレがあります。

光波長計の使用用途

光波長計の使用用途ですが、光学部品などの特性評価において、より高い波長の精度が求められる場合によく利用されます。

例えば、レーザーやLEDなどバンド幅の狭い光源の波長特性を正確に測定するためや、光ファイバー通信で用いられる光の波長特性の評価などにも用いられます。

光波長計は、もともと光ファイバー通信に使われる光の波長を測定するためによく使われていた背景もあり、1,000~1,800 nmの光を測定できるようにレンジが設定されているものが数多くあります。

光波長計の原理

光波長計の原理は、フィゾー干渉計やマイケルソン干渉計などの光の物理的な干渉を利用することで、光の波長特性の測定を行う点にあります。

フィゾー干渉計を用いたものは、コリメーターレンズと参照面と呼ばれるガラス板と測定用ミラーからなる非常にシンプルな光学系です。

フィゾー干渉計に入射した光はコリメーターレンズによって平行光となった後、参照面を通過する際にその一部が反射されます。参照面を通過した光は測定用ミラーで反射され、参照面で反射した光と干渉し、縞のようなパターンを形成します。この干渉縞は光の波長と干渉する光の光路差によって固有のものが形成されます。

参照面と測定用ミラーとの距離 (光路差) は既知なので、干渉縞パターンから波長を算出できます。また、マイケルソン干渉計を用いたものは、入射した光をビームスプリッタによって2本に分け、さまざまに光路差を変えることで干渉光強度の変化を測定します。これを逆フーリエ変換することで、光のスペクトル(波長)が算出可能です。

光波長計のその他情報

1. 光波長計と光ファイバー通信

光ファイバー通信用の光計測用に広く用いられている光波長計ですが、光ファイバーは1,500nm帯が、光ファイバー内伝送時の光の損失量が最も低いために、一番よく使われている波長帯です。

しかし近年はこの波長帯だけでは、光ファイバー通信網がすでに飽和状態であるために周辺の光の波長帯の利用も盛んに開発が実施されている状況です。

光ファイバー通信の大容量化のためには、複数の波長を取り扱う波長多重通信が欠かせない技術の一つであり、光波長計にもこの場合の多重波長の同時測定機能やその実用的な分解能が求められています。このような背景のもと、昨今では最大1,024波長まで複数の波長を同時測定が可能な機種を扱うメーカーがあります。

2. 光ファイバー通信以外の用途

光ファイバー通信の光源には、一般に化合物半導体基板をベースにした半導体レーザーが広く用いられており、半導体のウエハやレーザーチップの量産ラインのウエハ製造前工程検査向けには、限られた単一波長のみを非常に高速に評価可能な機種のニーズが存在します。

また光ファイバー用アンプの光源が900nm帯であることから、1,000nmよりも低い光波長までの測定を対応可能にした機種が扱われています。

さらに、最近眼科診断によく用いられる光干渉断層計 (英: Optical Coherence Tomography) では800nm帯や1,050nm帯が使用されており、バイオテクノロジー向けの蛍光観察のアプリケーションでは可視光が主体ですので、300nm帯から1,200nm帯までを対応可能なモデルもあります。

3. CWとパルス光源対応機種

レーザーを用いたアプリケーションには、レーザー発振にCW動作を扱う場合と、例えば1KHzといった高速のパルス光源を扱う場合が存在します。

上位機種には、両方を扱うことが可能なモデルがありますが、CW動作時の用途のみを取り扱う光波長計もありますので、仕様をよく確認することが重要です。

 参考文献
https://telecomteststation.com/wavemeter-or-optical-spectrum-analyzer/
https://www.fujifilm.com/jp/ja/business/optical-devices/interferometer/knowledge#
https://www.rp-photonics.com/wavemeters.html

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