プロピレン

プロピレンとは

プロピレン (英: Propylene) とは、微かに芳香臭がある無色の気体です。

化学式C3H6で表される折れ曲がり型構造の化学物質で、分子量は42.08です。可燃性を有する鎖状不飽和炭化水素化合物の一つで、CAS登録番号は115-07-1になります。 別名「プロペン」「メチルエチレン」「メチルエテン」などとも呼ばれます。

プロピレンの反応活性は高く、重合や酸化などの反応を受けやすい性質があり、合成化学工業の分野においてエチレンとともに重要な化合物です。

プロピレンの性質

1. 物理的特性

融点が-185.2℃、沸点が-47.6℃です。エーテルやエタノールには溶けますが、水への溶解度は0.62g/m3でほとんど溶けません。通常、加圧下で液体として貯蔵されますが、承認された容器に室温で気体として安全に貯蔵することも可能です。

2. 環境・人体への影響

山火事、タバコの煙、自動車や航空機の排気ガスによる燃焼の産物で、一部の加熱ガス中の不純物です。吸入による急性毒性は低く、発がん性があるとは考えられていません。揮発性有機化合物 (VOC) と見なされ、排出量は多くの政府によって規制されています。

プロピレンの使用用途

1. 基礎原料

プロピレンは、ポリプロピレン、アクリロニトリルフェノール等プロピレン系製品の基礎原料となります。また、溶剤や合成洗剤などの基礎原料としても使用される他、液化石油ガスとして、燃料や重合ガソリンの製造原料としても広く利用されています。さらに、石油化学製品としての用途もあり、「イソプロピルアルコール」「アセトン」「アリルアルコール」「グリセリン」「アクロレイン」等の原料として用いられています。

2. その他

プロピレンが重合して生成されるポリプロピレンは、自動車用バンパーや包装用フィルムなどといった用途で使われています。 曲げを目的とした金属の酸素燃料溶接および切断、ろう付けおよび加熱において、アセチレンの代替燃料としても使用されます。

プロピレンのその他情報

1. プロピレンの製造法

プロピレンは、石油分解ガスから低温で分留する方法や、プロパンを蒸気分解して脱水素化するといった方法によって、工業的に多量に生産されています。レニウムやモリブデン触媒を用いたオレフィンメタセシス反応により、エチレンと2-ブテンから相互変換して得ることもできます。

2. プロピレンの反応

プロピレンは、チーグラー・ナッタ触媒などを用いて配位重合することで、非常に重要な熱可塑性プラスチックであるポリプロピレンを合成できます。他のアルケンと同様に、酸化やハロゲン化、ハロゲン化水素化、アルキル化、ヒドロホルミル化などを起こします。また、他のアルケンと同様に燃焼し、水と二酸化炭素を形成します。

3. 法規情報

プロピレンは、毒物及び劇物取締法や化学物質排出把握管理促進法では指定がありません。労働安全衛生法では、危険物・可燃性のガス、名称等を表示・通知すべき危険有害物に、高圧ガス保安法では液化ガス、可燃性ガスに指定されており、取り扱いには注意が必要です。 

4. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 保管容器には専用の高圧ガス容器を使用し、換気の良い40 ℃以下の場所で保管する。
  • 発火の恐れがあるため、高温の物体、火花、裸火との接触は避けて保管する。
  • 使用後は、容器のバルブを完全に閉め、口金キャップと保護キャップを付ける。
  • 爆発の恐れがあるため、酸素に富む物質 (強酸化剤) との接触は避ける。
  • 屋外や換気の良い区域、防爆仕様の局所排気設備などで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用し、取扱い後はよく手を洗う。
  • 窒息の恐れがあるため、蒸気の吸入を避ける。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/115-07-1.html

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